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フランスからの贈り物〜ATOLLというメーカーの製品

オーディオ機器を選ぶとき、何を基準にしているでしょうか。

スペック、デザイン、価格——。どれも大切な要素ですが、最終的には「音」との相性に尽きます。そんな当たり前のことを、あらためて教えてくれたのがフランスのATOLLというメーカーでした。

最初にATOLLと出会ったのは、IN100SEというエントリーより一つ上の機種でした。

初めて音を出した瞬間、思わず笑ってしまったのを覚えています。とにかく元気で明るい。まるで陽気なフランス娘が部屋に飛び込んできたような、躍動感のある音でした。

ただ、正直に言えば、ともするとはしゃぎすぎの感もありました。

一種のデフォルメとも言えるかもしれません。落ち着いた渋さや、陰影のある雰囲気を求める音楽には、少し合わないかもしれない。そう感じたのも事実です。

とはいえ、渋めのイギリス系のスピーカーと組み合わせたら、意外とバランスが取れるかもしれないとも思いました。音の相性というのは、不思議なものです。

ATOLL——環礁という名前の通り、明るいイメージの音なのです。

この明るさの源泉は、おそらくフランスという国の音楽性にあるのでしょう。クラシックのフランス人作曲家を思い浮かべてみてください。例えば、ラベルやサン・サーンス。彼らの音楽には、独特の色彩感があります。光の粒が音符になったような、そんな鮮やかさです。

ATOLLの音からは、まさにこの色彩感が感じられます。

面白いのは、上位機種になるほど、このキャラクターが洗練されていくことです。明るさはそのままに、クセのある強調(はしゃぎぶり)は徐々になくなっていく。バランスが整っていくのです。いわば落ち着きが出てくると言えます。

そうして現在使っているのが、IN400SEというちょっと変わったデザインのプリメインアンプです。

ATOLL IN400SE

一般的な感覚で言えば、決して安い買い物ではありません。でも、この価格で得られる音質を考えれば、間違いなくバリューフォーマネーだと思います。これはATOLL製品全体に言えることで、コストパフォーマンスの高さは本当に魅力的です。

もちろん、セパレートアンプの方がオーディオ的な性能は上でしょう。そんなことはわかっています。

でも、自分はそこまでの性能を望んでいないのだと思います。むしろ大切にしているのは、部屋に置いたときの全体のバランスです。機材だけが突出していても意味がない。今はこれぐらいで十分だと感じています。

よほどの臨時収入でもない限り、このIN400SEとは長い付き合いになりそうです。

ATOLLの何が良いのか。それは、厚みのある血の通った音がするところです。

音場を奥へ奥へと展開させるタイプではなく、その場にステージの空気感を再現するタイプ。演奏者の息遣いや、楽器の質感が、目の前に立ち上がってくる感覚があります。

音楽が「そこにある」という実在感。これは何物にも代えがたいものです。

以前、ネットワークプレーヤーで比較試聴をしたことがあります。

ATOLLのST300 SignatureやMS120と、最近話題の機能が豊富なEversoloです。率直に言って、Eversoloはどれを聞いても音が薄いと感じました。

もちろん、どちらを好むかは人それぞれでしょう。機能性や利便性を重視する人もいれば、音の厚みを求める人もいる。どちらが正しいということではありません。

ただ、自分にとっては、ATOLLの血の通った実在感のある音の方が、しっくりきました。音楽を聴くとき、そこに人の温もりを感じたいのです。

このIN400SEは、輸入元の直営店であるオンアンドオンというオーディオショップで購入しました。

ここは本当に居心地の良いお店です。お客の好みに口を出さないという方針が徹底されていて、押し付けがましさが一切ありません。自分のペースで、じっくりと音を吟味できる。そんな空間です。

少し前に川越へ移転したので、以前よりは少し遠くなりました。

でも、逆にクルマでのアクセスは良くなったので、ドライブがてら訪れるのも悪くありません。音楽を聴きながら川越まで。窓を開けて風を感じながら。そんな休日の過ごし方も、なかなか贅沢だと思います。

フランスからの贈り物、ATOLL。

豪華さはないけれど、誠実で、温かみのある確かな音がする。そんなメーカーです。

もし興味が湧いたら試聴してみてください。

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