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【再読】 「スイッチ!変われないを変える方法」 チップ・ハース、ダン・ハース 前編【再レビュー】

前書き


実は私のnote記事のかなり初期の時に、一度この本のレビューをしています。


今回ふとした気の迷い……もとい、「再読こそ読書の醍醐味」という信念のもと、この本をもう一度読み直してみました。

ならばどうせならレビューをもう一度書いてみよう。
以前書いた内容は全く覚えていないので、あえてそれは読み直しせず、今回のレビューを書き上げてから改めて比較してみよう。

そんな思い付きから今回の企画となりました。
さてどうなりますやら。


はじめに



やりたいことが山ほどあるのに、体が動かない。
新しい習慣を身につけようと決意したはずなのに、三日後には元の生活に戻っている。
そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。

特に責任ある立場を任されたり、私生活でも役割が増えたりする30代から50代の方々にとって、「自分を変える」「組織を動かす」といった変化は、切実でありながらも非常に難易度の高い課題です。

チップ・ハースとダン・ハースによる『スイッチ!』は、そんな私たちの「変われない理由」を、驚くほどシンプルで鮮やかな比喩で解き明かしてくれます。

私たちは決して、怠け者だから変われないのではありません。
ただ、自分の中にある「二つの存在」の折り合いがつかなくなっているだけなのです。

今回は、本書が提示する「生産性を劇的に高め、目標を確実に達成するための戦略」を、私自身の葛藤や気づきを交えながら深掘りしていきます。




1. 選択肢が多すぎると、人間はフリーズするようにできている


私たちが目標を達成しようとする際、最初につまずく原因の多くは「意志の弱さ」ではなく「選択肢の多さ」にあります。


「意思決定の麻痺」があなたの行動を阻害する

目の前にやりたいことリストやタスクリストが並んでいるとき、私たちはワクワクする一方で、ある種の重圧を感じることはないでしょうか。
コンディションが良いときはそのリストを一つずつ消化していくことに喜びを感じられますが、仕事で疲れ果て、心身ともに消耗しているときはどうでしょう。

「さて、このリストの中から何をやろうか」と考えた瞬間に、思考が停止してしまう。
そして結局、スマートフォンを眺めて時間が過ぎてしまう。
これは、心理学で言われる「意思決定の麻痺」そのものです。

本書では、選択肢が増えることは、たとえそれがどれほど良い選択肢であっても、人間を凍りつかせる原因になると指摘しています。
現状が心地よく安定していると感じられるのは、実は私たちが無意識のうちに多くの選択肢を切り捨てているからです。
変化を起こそうとして新しい選択肢を自分に突きつけた瞬間、その安定は崩れ、私たちは「何をしていいかわからない」という迷路に迷い込みます。


変化を成功させるカギは「あいまいさの排除」にある


この迷走を止めるために必要なのは、強靭な精神力ではありません。
必要なのは「あいまいさの排除」です。

私たちは何かを変えようとするとき、「もっと効率的に動こう」とか「健康的な生活を送ろう」といった、抽象的で美しい目標を立てがちです。
しかし、こうしたあいまいな目標は、後述する「象使い(理性)」を激しく消耗させます。

変化を成功させるためには、あいまいな目標を、誰が見ても疑いようのない「具体的な行動」に置き換える必要があります。
本書ではこれを「大事な一歩の台本を書く」と表現しています。

相手に、あるいは自分自身に行動を変えてほしいなら、「新しい行動」をはっきりと、微細なレベルまで説明しなければなりません。
新しい行動が明らかだと思い込んでしまうことが、変化を阻む最大の罠なのです。

2. 象使いを疲れさせない「具体的な台本」の作り方


本書の核となる比喩に「象使い」と「象」があります。

象使いは理性であり、計画を立て、未来を見据えるリーダーです。
対する象は感情であり、エネルギーの源泉ですが、怠け者で気まぐれな存在です。

SMARTな目標の限界と「白黒の目標」の必要性


目標設定の定番として知られる「SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限付き)」という手法があります。
確かに論理的で優れた手法ですが、本書ではこれに一つの疑義を呈しています。
それは、SMARTな目標は「理性的」ではあっても「感情的」ではない、という点です。

象使い(理性)はSMARTな目標を理解しますが、象(感情)はそれでは動きません。
象を動かすには、もっと心に響く、鮮明なイメージが必要です。
それを本書では「目的地の絵はがき」と呼んでいます。

一方で、日々の行動を管理するためには「白黒の目標」が有効です。
これはオール・オア・ナッシングの目標、つまり「やったか、やっていないか」が誰の目にも明らかな目標です。
あいまいさを削ぎ落とし、言い訳の余地をなくすことで、象使いが余計な分析にエネルギーを使わずに済むようになります。


目的地までのすべての道のりを予測しなくていい


完璧主義な人ほど、スタートからゴールまでのすべての道のりを完璧に設計しようとします。
しかし、複雑な環境の中で、すべての曲がり角を予測することなど不可能です。

大切なのは、適切なスタートと、魅力的なゴール(絵はがき)を見つけること。
そして、最初の一歩となる具体的な台本を書くことです。
あとは歩き始めればいい。
歩きながら修正していく方が、立ち止まって考え続けるよりも遥かに生産的です。

戦略はシンプルであるべきです。
まずは、すでにうまくいっている事例を見つける。
次に、象使いに明確な方向を教える。
これだけで、変化の難易度は劇的に下がります。

「ブライト・スポット」を横展開し、効率的に成果を出す


「何がダメなのか」を分析するよりも、「何がうまくいっているのか」を探す方が、変化への近道です。
この、お手本となる成功例のことを「ブライト・スポット」と呼びます。

私自身、このブライト・スポットを探そうとして、インターネットの海を彷徨った経験があります。
しかし、そこには自称インフルエンサーなどの方々によるノイズがあまりにも多く、自分に合った正解を見つけるのは困難でした。

実は、ブライト・スポットはもっと身近な場所、あるいは自分自身の過去の中に隠れていることが多いのです。
「例外の質問」を自分に投げかけてみてください。

「最後にほんのわずかのあいだでも、問題が解決していたのはいつだろう?」
「そのとき、自分は何をしていたんだろう?」

完璧なブライト・スポットなど、簡単には見つからないかもしれません。
しかし、注意深く観察を続ければ、必ず「光っている瞬間」が見えてきます。
その小さな成功を広めることこそが、最も効率的な目標達成術なのです。


はい、ということで以下次号です。


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