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from 図書館返却本棚 その35 「10分仕事術」 瀧岡幸子 後編

はい。前回からの続きです。




第2章:実践の核!「10分単位」への仕事の分解術


3. 効率を爆発的に高める「準備の鉄則」


分解によって生まれた10分ユニットをスムーズに実行するためには、実行環境の準備が欠かせない。

まず、著者が推奨するのはアナログツールの活用だ。
デジタルツールは便利だが、通知などで集中力が途切れやすい。
一方で、紙やペン、付箋といった物理的なツール(アナログツール)を使うことは、作業そのものに集中しやすくなる効果がある。

10分という制限時間も相まって、より高い集中力を維持しやすくなる。


次に、動線の短縮と「ワンセット化」を徹底する。
これは、仕事を始めるまでの手間を極限まで減らす工夫である。

いつも使うものを一つにまとめておく。
プロジェクトごとに使う資料や文具、充電器などを一つの箱やファイルに「ワンセット化」しておくのだ。
これによって、作業開始時に道具を探す時間をゼロにする。

私もこの「準備の徹底」こそが10分仕事術の肝だと考える。
現在私で言えば、確定申告に関する書類は会計用のPCと一緒にしているが、これをもっと他にも応用していろいろなワンセットを作るべきだと感じた。


動線を減らすという発想も必要だ。
これは仕事だけでなく、家事や育児にも応用できる。

たとえば、よく使う文具や書類、薬などをリビングや作業場所の近距離にまとめておくことで、物理的な移動(動線)を減らす。


これらの準備は、最初のうちは面倒に感じるかもしれないが、一度整えてしまえば、その後の10分仕事の回転率を爆発的に高めることができる。


4. 相乗効果:ポモドーロ・テクニックとの連携


私は日頃からポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)を愛用しているため、10分仕事術との相性がいいと感じた。

10分仕事術の原則は「飽きたら次へ」「60%できたら次へ」という柔軟な中断にある。
これに対し、ポモドーロは「25分は絶対に集中し続ける」という固定時間制だ。

この二つを使い分けることで、より効率的な時間の使い方ができそうである。

具体的には、自分が「乗っている仕事」であれば、あえて10分でやめずに25分間(またはそれ以上)続ける。

逆に、乗り気ではない「好きでないけどすべきこと」や、集中力が途切れがちなルーチンワークは10分で打ち切って次へ移る。

これにより、その時々の集中力とタスクの性質に応じて、最短で効率を上げる時間管理を実現できるだろう。



第3章:生産性を高める「中断戦略」と「幸福感の仕込み」


1. 「中断」は悪ではない:ツァイガルニク効果の活用


10分仕事術の最大の懸念の一つは、頻繁なタスクの切り替えによって発生する「意識の切り替えによる集中力の低下問題」である。
しかし、著者はこのロスを上回るメリットを提示する。

それが「積極的な中断戦略」
この戦略の背後にあるのは、心理学におけるツァイガルニク効果だ。

これは、人間は達成したことよりも、中断されたり、未完了のまま終わったタスクの方をよく覚えているという現象を指す。

著者が提唱する「60%できたら次へ」というルールは、まさにこの効果を意図的に活用している。

「乗っている仕事ならば10分でやめずに続ける」という柔軟性も重要だが、あえて60%という中途半端な状態で中断させることで、タスクへの意識を潜在意識に居座らせるのだ。

その結果、意識的に考えていなくても頭の中で処理が続き、次にタスクを再開した際、スムーズに集中状態に入ることができる。
つまり、「60%で次へ」は単なる「飽き対策」ではなく、タスクの継続性を高め、意識の切り替えロスを最小限に抑えるための高度な工夫なのである。

中断は「未完了」ではなく、「続きが楽しみな状態」を作るための戦略なのだ。


2. やらなくていいことを探す勇気


効率化の本質は、何もかもを早くやることではなく、「やらなくていいことをさがしてやめること」にある。

どんなに10分仕事術で作業の効率を高めても、無駄なタスクを続けている限り、時間は生まれない。

著者は、本当に必要な時間を捻出するために、「回数を減らす」「動線を減らす」といった物理的な削減から、「やめる」という究極の判断までを求めている。

この考えは、「慣れているけど好きでないこと」にこそ適用すべきである。

たとえば、惰性で続けている会議への参加回数を減らす、自分でやらなくてもいい雑務は自動化または外注化する。

これは私も実感していることだが、「慣れているけど好きでないこと」は、時間泥棒になりがちだ。

これらを徹底的に効率化し、その結果生まれた貴重な10分を、「本当にやりたいこと」や「幸福感を上げる行動」に振り向けるべきである。


3. 「10分で幸福感を上げる行動」を仕込む


実は本書を読んで最も気に入ったのが、この「10分で幸福感を上げる行動を仕込む」という考え方だ。

効率を追求する仕事術でありながら、幸福感や充実感といった精神的な側面に重きを置いている点に好感を持ったのである。

具体的な行動としては、「踊る」「歌う、奏でる」「外に出る」「寝る」といった、短時間で気分転換ができる行動を推奨している。

私もポモドーロテクニックの休憩時には「ただ寝る」ようにしている。
これに「踊る」を加えるのも面白そうだ。
(ただし「歌う、奏でる」は私にとってメインの行動であるので除外)


これらの行動を10分の隙間時間に挟むことには、二重のメリットがある。

一つは、単なる休息ではなく「アクティブレスト」として機能し、その後の仕事の生産性を向上させる効果があることだ。
脳を休ませ、心身をリフレッシュすることで、次の10分ユニットへの集中力を高めることができる。

そしてもう一つは、日々の幸福感、すなわちウェルビーイングの向上に寄与することだ。
仕事のタスクリストの中に「喜び」の項目を組み込むことで、人生の質そのものを高められる。

私たちは「作業をこなす」ために生きているのではなく、「幸せに生きる」ために働いている。

この原則を10分単位の行動に落とし込む発想は、まさに現代人に必要不可欠な視点だと言える。



まとめ


本記事で解説してきた通り、『10分仕事術』は単に時間を細切れにして多くの作業をこなすテクニックではない。

これは、「効率化」と「生きがい」という一見相反する要素を両立させ、多岐にわたるプロジェクトを心が疲弊しない形で心地よく進めるための、新しいワークスタイルだ。

私たちは、好きなことまで無理に効率化しようとする傾向を自覚し、本当に効率化すべき「慣れているけど好きでないこと」にのみ、この強力なツールを適用すべきだろう。

そして、ツァイガルニク効果を利用した積極的な中断と、10分間の幸福感を仕込むことで、仕事の生産性と人生の充実度の両方を追い求めるのだ。


3つのアクションプラン

この記事を書くことによって私は、以下の3つのアクションプランを得た。

1. まず、「慣れているけど好きでないこと」を一つ選ぶ。

2. それを「最も小さい10分単位」にまで分解し、必要な道具をワンセットで準備する。

3. 「10分で幸福感を上げる行動」(例:好きな音楽を聴きながら少し体を動かす)を一つ、今日の午後のスケジュールに仕込んでみる。

すべてを効率化しなくていい。
自分の大切なものは守りながら、そうでないものだけを合理化する。

この考え方こそが、私たちの「やりたいこと」すべてを実現に近づける道筋となるだろう。




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