英語『ルールとパターンの英文解釈』(1)
くま家の採用教材
採用した理由など
この本は『英文解釈教室[入門編]』の後に使う本として採用しています。なんといっても、かなり易しい英文から始まって、旧帝大レベルの英文まで曲りなりに、しかし体系的に最短コースで導いてくれる本だからです。
もう一つの理由は後の話でも出てきますが『ビジュアル英文解釈』が2冊でたどり着く所まで1冊でたどり着けるというメリットです。これは挫折しにくいとも言えます。
最後にくま家独自の理由があります。それは伊藤先生の講義テープが全部mp3化されて、全講義分あるのです。なので、
予習30分
講義30分
復習30分
の合計90分で1講義が完成するのです。これを毎日1時間半ずつやれば、40日で完成できるのです。
以上が『ルールとパターンの英文解釈』を採用した理由です。
『ルールとパターンの英文解釈』について
1.この本はそもそもどうやってできた本か?
旺文社大学受験ラジオ講座
この本は1983年4月~1984年1月まで文化放送とラジオ短波をキーステーションに旺文社の提供で放送されていた「旺文社大学受験ラジオ講座」(ラ講)の中で「伊藤のルールとパターンの英文解釈」の名で放送されたものを文字起こししたものです。
こう書くと放送終了後すぐに書籍化されたように聞こえますが、実はそうではありません。この文字起こし本が旺文社より出版されたのは放送終了の10年後、1994年3月なのです。この放送が終了してすぐにこの放送を録音した音声教材「ラ講テープライブラリー 伊藤のルールとパターンの英文解釈」というテキスト1冊、カセットテープ20巻の音声教材として出版されました。整理すると
1983年 ラジオ講座で放送
1984年 旺文社テープライブラリーとして販売
1994年 旺文社から『ルールとパターンの英文解釈』発売
2018年 研究者から『[新版]ルールとパターンの英文解釈』発売
となっています。



伊藤先生とラジオ講座
ちなみに伊藤先生のラ講の講座はその翌年からは年の半分だけの出講となり、以下のような講座を担当されていました。
「ルールとパターンの英文解釈入門」
「ルールとパターンの英文解釈演習」(別内容で2年度)
「ケーススタディ英文解釈」(後にラ講テープライブラリ―として発売)
「英文法集中クリニック」('92~'94年/半年×3年度)
(これは後にラ講テープライブラリ―でPart1~3の3部作として発売)
上記の「ケーススタディ」はテープライブラリーに続き、駿台文庫から「英文和訳の十番勝負」という本の原型になっています。この本はなぜか駿台文庫の伊藤先生の本の中で唯一絶版になっています。

「英文法集中クリニック」は後に研究社から出版された「英文法のナビゲーター(上)(下)」としてほぼ同じ内容で出版されています。

2.この本について
私が伊藤和夫です
さて、話をこの本に戻します。
私は旺文社大学受験ラジオ講座(ラ講)で生放送(とはいえ、実際に生放送というわけではなくリアルタイムで、という意味です)されていた「伊藤のルールとパターンの英文解釈」を聞いていました。
『英文解釈教室(旧版)』などの難易度の高い本の執筆者というイメージだったので、正直「あの伊藤和夫がラジオ講座に?」とびっくりしたのをよく憶えています。
講座の一番初めの4月の第1回の記念すべき伊藤先生のはじめの一言は
「みなさんこんにちは、私が伊藤和夫です」
でした。
真夜中に棒読みのような単調な語り口で「こんにちは」と聞いたときには思わず笑ってしまいましたし「私が」というのも何とも微笑んでしまいました。その後テープライブラリーになってもそこは編集されずそのままでした。でもそれも今では楽しい思い出です。
「比較」の問題
ところで、本放送とラ講テープライブラリーでは「比較」が一切扱われていません。
そこは旺文社版で書籍版になった時に、この原本となった講座の翌年に放送された「伊藤のルールとパターンの英文解釈演習」という応用篇で比較を扱った部分を差し替えて(つまり、元の講座は一つ減ったが、復習的内容だったので支障はなかった)網羅性を高くして出版されました。
ただ、その代りかどうかはわかりませんが、書籍版には放送当時、別冊解答集にあった練習問題「For Further Study」は全部カットされてしまいました。For Further Studyでは、講義で扱った文章の中から特にポイントになる部分を復習できるように2~3行(時に5~6行)の英文解釈の問題と解答が2~3題づつありました。
研究社から新版が出ると聞いた時は、今度こそ一切省略なしで出版されるかな、と期待して予約注文したのですが残念ながらそれはかないませんでした。
3.この本はどういう位置づけになるか?
伊藤先生の他の本との関係
まず、一つ言えるのは、今出版されている『英文解釈教室』シリーズや『ビジュアル英文解釈』などの大元になったのがこの『ルールとパターンの英文解釈』なのです。
この『ルールとパターンの英文解釈』をラジオ講座で講義した後、伊藤先生の中に大きな変化があったと後日語られています。それは、今まで書いてきた『英文解釈教室』などが難しすぎる、しかもその難しさがレベル的な難しさ以上に「説明が難しい」ところからきている、ということに気が付いた、という話でした。
そうして生まれたのが『ビジュアル英文解釈 Part ⅠⅡ』でした。だからあの本も「ルールとパターン」で解説されているのです。
『英文解釈教室』のシリーズ化と大改訂
伊藤先生は『ビジュアル英文解釈』を書き上げると、すぐに『英文解釈教室』のシリーズ化に取り掛かります。そうしてできたのが『英文解釈教室[基礎編]』であり、それに続いて出来上がった『英文解釈教室[入門編]』なのです。
伊藤先生の『英文解釈教室』シリーズ化の本丸が本家の『英文解釈教室』の改訂でした。伊藤先生は『英文解釈教室』の例文と例題の文章は一切差し替えないことでレベルを担保し、その上で解説を全面的に書き換えられたのです。
こうして、伊藤先生の英文解釈本の根幹になる書籍群が『ルールとパターンの英文解釈』を元に執筆及び大改訂されたのです。
他の本とのレベル問題
この問題は伊藤本で勉強しようとする受験生や高校生にとっては大きな問題でしょう。
結論から言えば、
『ビジュアル英文解釈Ⅰ・Ⅱ』とはほとんど重なり、
『解釈教室シリーズ』とこの本は基本的に中途半端に重なる本
といえます。
強いて言うならこの『ルールとパターンの英文解釈』を読んでから『英文解釈教室』と『長文読解教室』や『テーマ別英文読解教室』に進むというのが一番無駄のないパターンだと思います。
『英文解釈教室[入門]』『同[基礎]』はこの本とレベル的にはかなり重なります。入門の方は『ルールとパターンの英文解釈』の手前の英文法の確認という意味と割り切れば、入門をやってからこの本に取り組んでもよいでしょう。つまり、英文法は一通り勉強している前提でいえば、
『英文解釈教室[入門]』
→ 『ルールとパターンの英文解釈』
→ 『英文解釈教室』
という流れで学習すると中学生レベルから大学受験の東大・京大レベルまですんなりと駆け上がっていくことができると思います。
ちなみに『英文解釈教室[基礎編]』と『ルールとパターンの英文解釈』はかなり重なっていると言ってよいでしょう。なので『英文解釈教室[基礎編]』と『ルールとパターンの英文解釈』はどちらかでよいと思います。ただ、個人的な意見を言えば、『ルールとパターンの英文解釈』の方が楽に終わらせることができる気がします。
『英文解釈教室』シリーズを持っている研究社がそもそも『ルールとパターンの英文解釈』を出す意味があったのか?という疑問もないわけではありません。はっきり言えば「研究社が出すという意味」は実は全くなく、単純に伊藤先生の本だから版権獲得して出版した、という「研究社のコレクター的発想と商業主義」なのだろうな、とは思いました。
しかし、旺文社が絶版にしてしまい、旺文社版の書籍がネットオークション等で馬鹿げた価格で取引されているのを見ると、旺文社が出版し続ける意志がないなら、研究社が出してくれる意味はあると思いますし、その価値は認めています。何より私個人としては、この本は伊藤先生の本の中で一番好きな本なので、素直に感謝しています。
