『レヴンワース事件』
※本記事はシリーズ「レヴンワース事件note」第1回目です。
第2回はこちら
(「自宅で裁判!? 19世紀アメリカの司法事情」)
復刊を望む声に応えて、現代日本語訳で。
復刊ドットコムというサイトをご存じでしょうか?
絶版となった本の復刊を希望する読者の声を集めている場所です。
そこで、十年以上にわたって『レヴンワース事件』の復刊を願う投稿が寄せられていることを知りました。
「世界初の女性による長編探偵小説らしい。ぜひ読めるようにしてほしい」
「歴史的資料として貴重すぎる。もったいない」
「歴史的価値の方が高いかもしれないが、それでも読んでみたい」
そんな言葉が並んでいました。
この作品を書いたのは、アンナ・キャサリン・グリーンという女性作家。
十九世紀後半、今からおよそ150年も前に発表された長編推理小説であり、後に「探偵小説の母」と呼ばれる彼女が、コナン・ドイルやアガサ・クリスティの登場以前に手がけた作品です。
この作品は、1963年に東都書房から出版されたのを最後に、長いあいだ絶版のままでした。読むには古本を探すか、国会図書館に行くか、原書にあたるしかありませんでした。
そんな状況の中で、「復刊を望む声」がたしかに存在している――
それを知ったことが、この作品の翻訳を決意したきっかけのひとつです。
これは商業的に大きく売れる本ではないかもしれませんが、「読みたい!でも翻訳がない!ならば訳すか!」
そんな思いで、翻訳に取り組みました。
今回、原文に忠実でありながらも、現代の読者が自然に読み進められる日本語訳を目指しています。
『レヴンワース事件』は、資産家「レヴンワース氏」が、自宅で銃殺されるところから幕を開けます。
物語の鍵を握るのは彼と共に暮らす二人の姪、メアリーとエレノア。
彼女たちの背後に潜む秘密、そして複雑に絡み合う人間関係。
語り手である若き弁護士レイモンドと、老練な刑事グライスが、それぞれの立場から静かに真相へと迫っていきます。
この作品が刊行されたのは1878年。
ホームズの登場より9年早く、「探偵と語り手」という語りの形式をいち早く取り入れた作品でもあります。
その手法は後にアガサ・クリスティらにも受け継がれ、推理小説というジャンルの礎となりました。
かつて復刊ドットコムでこの作品を「読みたい」と声を上げてくださった皆さまへ。
もし、今もまだこの本を待っていてくださった方がいらしたなら、少しでも、あなたのお役に立てる一冊になっていれば幸いです。
『レヴンワース事件』は、こちらのAmazonページより試し読み・ご購入いただけます。
