「返り読み」は江戸時代に始まり、今も続く
英語の「返り読み」は、日本独自の英語読解法で、漢文訓読の影響を強く受けたものです。英文を日本語の語順に合わせて後ろから(または数字・記号で示された順で)訳す方法を指す。
漢文訓読は、日本で古くから行われてきた古典中国語(漢文)の読み方。
返り点(レ点・一二三点など)を使って漢文を日本語語順で読み下す。
これが外国語学習の基盤に。江戸時代の蘭学(オランダ語研究)で、オランダ語文献の読解に漢文訓読の手法を適用(逐語訳+日本語語順への並べ替え)。
これが欧文訓読の原型。森岡健二の研究などでは、蘭学時代にすでに始まっていたとされています。
黒船来航(1853-54)以降、英語の必要性が高まり、漢文訓読の延長として英語にも適用。
明治期の英語教科書・訳本では、原文の各単語に日本語訳を付け、数字で読む順番を示す形式が一般化した。(例:1886年の『正則ニューナショナル第二リードル獨案内』)。
これにより、英文を原文のまま崩さず構造を理解する目的で使われたが、結果として返り読み(後ろから日本語語順に訳す)が定着した。
斎藤秀三郎らの影響で「文法訳読式」が体系化され、受験英語や学校教育の基礎に。明治30年代頃に「英文解釈法」として確立。
この方法は、原文尊重と文法理解に有効だったが、日本語として不自然な訳になりやすく、返り読みの癖を生み、速読や英語の語順での理解を妨げる一因となりました。
戦後、GHQの影響などもあって文法・訳読中心の教育が続き、現在も多くの学校や受験勉強で残っています。
一方で、直読直解法(英語の語順のまま読む)や正則教授法(明治時代の口頭中心の方法)も存在したが、主流にはならなかった。
現在でも、多くの英語教師は授業で「返り読み」を指導している。
しかし、「返り読み」は「読み」とは言っているが、訳し方であって、読み方では無い。
「返り読み」は時間がかかり、リスニング・速読に悪影響を及ぼすため、スラッシュリーディングや読み下しなどで「前から読む」英語の読み方を提案する英語教師もいる。

