「自己都合」の離職票、争うと変わる4つのこと
退職して数日後、会社から離職票が届く。そこに「一身上の都合により退職」と印字されているのを見て、ああ自分は自己都合なんだな、と受け取る。ほとんどの人はそこで思考が止まる。
止まらないほうがいい。この欄は会社が書いたもので、確定ではないからだ。
雇用保険の離職理由を最終的に判定するのはハローワークで、会社ではない。会社が「自己都合」として提出していても、あなたが窓口で事情を説明し、それを裏づける材料があれば、判定が変わることがある。実際、離職票には会社の記載に対して本人が異議を申し立てる欄が最初から用意されている。制度は、食い違いが起きる前提で設計されている。
そして、この判定が変わると何が動くのか。ここが本題になる。
多くの記事は「給付制限がなくなって早くもらえる」という点だけを説明して終わる。それは間違いではないが、金額のインパクトとしては一番小さい部類だ。判定が変わることで動くものは、少なくとも4つある。そのうち1つは、ハローワークではなく市区町村の窓口で、別途申請しないと一円も反映されない。
まず、いちばん見落とされている1つ目から。
そもそも、受け取れるかどうかが変わる
見落とされやすいが、これが最も大きい。
失業保険を受け取るには、被保険者期間の要件を満たす必要がある。この要件が、離職理由によって二段構えになっている。
| 区分 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 一般の離職者(自己都合など) | 離職前の2年間に通算12か月以上 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者 | 離職前の1年間に通算6か月以上 |
勤続8か月で辞めた人を考えてみる。一般の離職者として扱われれば、受給資格そのものがない。ゼロ円だ。特定理由離職者と認められれば、6か月の要件を満たすので受給できる。
転職してすぐ体調を崩して辞めた人、契約が更新されずに1年経たずに職場を離れた人は、まずここを確認したほうがいい。給付制限や日数の話は、受給資格があって初めて意味を持つ。
1か月の給付制限が、まるごと消えることもある
自己都合退職には給付制限がかかる。7日間の待期のあと、さらに一定期間は支給されない。
この期間は2025年4月に短縮された。離職日が2025年4月1日以降で、過去5年以内の自己都合退職が1回以下なら、原則1か月になっている。以前は2か月だったので、1か月ぶん改善された形だ。過去5年以内に2回以上の自己都合退職がある場合は3か月のまま。
特定理由離職者と認められると、この給付制限がかからない。待期7日間が明けた時点から支給対象になる。
短縮されたとはいえ、1か月ぶんの基本手当が前倒しで入るかどうかは、無収入期間の家計としては小さくない。ただし前述のとおり、4つの中ではこれが最も金額が小さい。
なお、ハローワークの指示する公共職業訓練を受講する場合は、給付制限そのものが解除される仕組みもある。離職理由を争うのとは別ルートの選択肢として、頭の隅に置いておくといい。
ここまでの2つは、他の解説記事でもよく扱われている部分だ。3つ目の「日数」も、期待されているほどには動かない。順に見ていく。
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