『ワンダーウーマン』レビュー|灰色の戦場に舞う「慈愛」の戦士。古き良きヒーロー像が胸を打つ一作
DCコミックスが誇る最強の女性ヒーロー、ワンダーウーマン。 本作は、世間知らずながらも純粋な正義感を持つ彼女が、初めて「人間の複雑さ」に触れる物語です。 圧倒的な美しさと力強さが共存するアクションはもちろん、色彩豊かな映像美と、単なる勧善懲悪に留まらない深いテーマ性が、観る者の心に確かな余韻を残します。
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【あらすじ】
女性しかいない隠された島「セミッシラ」の王女ダイアナは、一族最強の戦士を目指して修行に励んでいた。 ある日、島に不時着したパイロットのスティーブから、外の世界で「第一次世界大戦」が起きていることを知る。 「戦争の神アレスを倒せば、戦いは終わる」と信じる彼女は、スティーブと共に初めて島を出てロンドンへと向かう。しかし、そこには彼女の想像を超える、人間の醜さと気高さが渦巻いていた。
【刺さる人・やめた方がいい人】
アメコミ映画の中でも、特に「ヒーローの王道」を感じたい方におすすめです。
■ こんな人には「刺さる」一作です
「真っ直ぐなヒーロー像」を求めている方: 銃弾を弾き飛ばし、泥臭い戦場を力技で突き進む姿には、どこか懐かしさすら感じる「パワー全開」の爽快感があります。ダイアナの純粋な正義感が、灰色の戦場を塗り替えていく様子は圧巻です。
「映像の対比」を楽しみたい方: 楽園のような色彩豊かなセミッシラと、煤煙に包まれた灰色のロンドン。この鮮やかなコントラストが、異界から来たダイアナの存在感をより一層際立たせています。
■ こんな人には合わないかもしれません
「緻密なサスペンスや大どんでん返し」を期待する方: ヴィランの正体や展開にある程度の意外性は用意されていますが、基本的には王道。裏をかきすぎる展開よりも、シンプルに熱い物語を好む人向けと言えます。
「全キャラクターの深い掘り下げ」を重視する方: 主人公二人には焦点が当たっていますが、周囲の仲間たちの描写はやや端折られている印象を受けるかもしれません。
【視聴きっかけ】
アメコミ映画の中でも評価の高い女性ヒーロー像を、改めて確認しておこうと思い視聴。
【感想】
「いい意味で古臭い、パワー全開のアクション」が非常に心地よかった。 特に、銃弾を弾きながら戦壕を抜けていく「ノー・マンズ・ランド」のシーンは、近年の理屈っぽいアクション映画にはない圧倒的な高揚感がある。
また、ダイアナとスティーブの関係性も素晴らしい。ベタベタしたロマンスではなく、互いの能力と志を尊重し合う、甘すぎないけれど確かな絆が物語の芯を支えている。 世間知らずでコミカルなダイアナの姿が、戦争という重いテーマを中和しており、彼女が初めて食べるアイスに感動するような細かな描写も、後の悲劇的な展開とのギャップとして効いている。
【テンポ】
約141分。島からロンドン、そして前線へとテンポよく舞台が変わるため、長さを感じさせない。 一方で、サイドキャラクターの掘り下げなどは最小限で、やや駆け足に感じる部分もある。とはいえ、これ以上の肉付けは141分という枠の中では間延びに繋がる恐れもあり、メインの二人に絞った構成は英断だったのだろう。
【視聴後の一語】
慈愛
【まとめ】
ラスト、彼女が辿り着く結論は「ヒーローが無双して敵を滅ぼして終わり」という単純なものではない。 力だけでは決して解決できない「人の心」の複雑さ、その醜さと気高さの両面を受け入れた上で、それでも世界を守ることを選ぶ。 一人の世間知らずな少女が、真の意味で「慈愛」の戦士へと覚醒する過程を見事に描ききった傑作だ。
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