寄り道 #021 隅田川 -仕事帰りの心を整える『隅田川リセット』-
趣味のウォーキングの励みになるかと思い立ち、通勤ログ、始めてみます。
無理のないペースで。
〇場所
両国、浅草
〇歩行ルート
両国から隅田川を上流へ向かう
忙しい毎日の中で、見落としがちな景色を、少しずつ残していきたい。

5月も下旬。日中の汗ばむような暑さも、陽が落ちるにつれて和らぎ、夕暮れ時には川面を渡る風が心地よく頬を撫でる季節になりました。
今日は仕事を早めに切りあげて、寄り道がてら、下町の歴史と水辺の風情を味わうウォーキングへ。
起点としたのは、今も江戸の面影を色濃く残す「両国駅」。
ここから相撲の歴史が息づく街をめぐり、隅田川沿いの遊歩道(隅田川テラス)を、上流の白髭橋(しらひげばし)を目指してのんびりと歩を進めます。
横綱たちに見送られ、江戸の賑わいに迷い込む
両国駅に降り立つと、そこはもう大相撲の聖地。
駅構内には、昭和・平成・令和を駆け抜けた大横綱――千代の富士、武蔵丸、白鵬の勇姿が巨大な優勝額となって掲げられています。
その圧倒的な風格と、下町が守り続けてきた伝統の重みに、一歩目からすっかり魅了されてしまいました。
入社したころは、若貴ブームで、そのライバルが、曙と武蔵丸でした。すごく盛り上がっていたのを思い出しました。


駅を出てすぐ、江戸の町屋を再現した「-両国- 江戸NOREN」へと足を向けます。
吹き抜けの館内中央に鎮座するのは、日本相撲協会が監修したという本物の土俵。
静まり返った空間に佇む土俵を前にすると、かつて江戸の庶民を熱狂させた勧進相撲(かんじんずもう)のざわめきが、今にも聞こえてくるかのようです。

夕闇に佇む、国技館と江戸東京博物館の巨大なシルエット
川沿いへ向かう道すがら、下町のランドマークたちが夕闇の中に静かにその姿を現します。
春場所を終えて、ひっそりとした佇まいを見せる「両国国技館」。
あの独特な大屋根のシルエットは、薄暮の空に溶け込むようで、昼間の賑やかさとは異なる「静の美しさ」を湛えています。
両国国技館の奥にある「江戸東京博物館」はリニューアルオープンしたばかり。


隅田川テラスへ。マジックアワー。
両国の歴史情緒を胸に、いよいよ隅田川のほとり、隅田川テラスへと下ります。
堤防を越えた瞬間、目の前が開けて川風がすうっと吹き抜けていきました。
ちょうど、空が黄金色から深い藍色へと移ろう「マジックアワー」の真っ只中。暮れなずむ川面は、夕陽の残光を浴びてキラキラと揺れています。


個性豊かな橋を巡り、水面(みなも)を滑る船を眺める。さらに上流へ。
隅田川に架かる橋たちは、どれも個性的で粋な表情をしています。
レトロなデザインが美しい蔵前橋、重厚なアーチを描く厩橋(うまやばし)、駒形橋、そして吾妻橋(あづまばし)。一歩歩くごとに、橋の向こうから新しい下町の夜が顔を出します。
川面に視線を落とせば、ぽつり、ぽつりと明かりを灯した屋形船が、水面を静かに滑っていきます。
船の灯りが水面に長く尾を引き、ゆらゆらと揺れる様子は実にあでやか。
かつて浮世絵に描かれた隅田川の夕涼みも、きっとこんな風に粋で、美しい情緒に満ちていたのでしょう。




水上バスの発着所があり、観光の拠点となっています。
対岸に目をやると、浅草のシンボルであるアサヒビール本社の黄金のモニュメントが、夕暮れの光を浴びて静かに輝いていました。
現代的なデザインでありながら、この下町の夕景に見事に調和しているのが不思議です。



夜空に輝く東京スカイツリー®と、旅の終わりの白髭橋
言問橋(ことといばし)を過ぎる頃には、辺りはすっかり帳(とばり)を下ろし、闇に包まれます。

すると今度は、目の前にライトアップされた東京スカイツリーが、息をのむほどの美しさでそびえ立ちました。
歴史ある下町の空に伸びる現代の塔。そのきらびやかな光が隅田川の川面を彩り、川の歴史が未来へと繋がっているようなロマンを感じさせます。





そして、川の手通り沿いの土手を、北千住方面へ。
今宵のウォーキングの終着点、「白髭橋」へ。
大正から昭和初期の面影を残す、気品ある白いトラス構造の橋が、夜空に凛と浮かび上がっていました。
その美しさに、歩ききった心地よい疲労感が、すっと爽快感へと変わっていきます。


ここから南千住の駅に向かいます。鉄道好きの私にとって、本日最後のご褒美です。
JR貨物専用の「隅田川駅」を発見しました。
ここは日本最古級の歴史を持つ現役の貨物駅。
路線図には載っていない隠れキャラのような駅です。
南千住駅の東側に広がり、東北や北陸方面とを結ぶコンテナ貨物が集まる一大物流拠点とのこと。


南千住駅より帰宅。
ここは、JRとつくばエクスプレスの駅が隣り合っている。

両国駅で江戸の粋に圧倒され、夕闇の隅田川で川風に吹かれながら、スカイツリーを望んで歩いた約5キロの道のり。
ただ歩くだけのつもりが、下町の歴史、水辺の情緒、そして洗練された現代の夜景へと、まるで時代をタイムトラベルするような、贅沢な寄り道となりました。
隅田川に架かる橋にはそれぞれフォルムに特徴があり、興味深かったです。その特徴がわかる資料を掲載します。

忙しい毎日だからこそ、こんな風に自分のペースで街の息遣いを感じる時間を、これからも大切にしていきたいと思います。
寄り道をマガジンにまとめました。ご興味があればご覧ください。
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