【3AI比較】同じ「選べなかった」を、GPT・Claude・Geminiはどう読んだか
【note工房】『双子』比較編
同じ生メモを、GPT、Claude、Geminiの3AIに渡した。
扱ったのは、戦時中に三人の子どもを育てたSさんの話だ。
両手には双子。
背中には乳飲み子。
空襲の際には、三人を連れて何度も避難した。
そんなSさんに、親戚から双子の片方を養子に出さないかという話が持ちかけられた。
「お互いの幸せのため、と言われたけど、顔見ちゃったらね、どっちを出すなんて選べなかったよ」
Sさんは、双子のどちらも養子には出さなかった。
この短い生メモをもとに、3AIはそれぞれ分析し、不足している情報を質問した。共通の回答を受け取った後、さらに必要だと判断したAIは、もう一度だけ個別に質問した。
その後、最終分析とnote記事を作成した。
今回は、出来上がった記事の上手さを比べるのではない。
同じ材料から、各AIが何を見つけ、どこを深掘りし、何を記事に残し、どこで元の情報から離れていったのかを比べる。
最初から、見ていたものが違った
GPTが最初に強く拾ったのは、情報の具体性だった。
「両手に双子、背中に乳飲み子」という身体の配置。
「顔見ちゃったらね」という本人固有の言葉。
重い内容を笑顔で話したという、言葉と表情のずれ。
特に、笑顔をすぐに「懐かしかった」「乗り越えた」とは解釈せず、確認できるのは「現在、この話をする時に笑顔だったこと」だけだと分けた。
Claudeは、言葉の構造に注目した。
「選べなかった」とは、状況的に不可能だったという意味なのか。
顔を見たことで、心情的に選べなくなったという意味なのか。
また、双子が「二人の人間」ではなく、「二人いるうちの一人」として扱われたことにも早くから反応した。
Geminiは、さらに大きな概念へ進んだ。
養子の提案を、生活を維持するための合理性や功利性と捉え、それに対してSさんが母親としての情動を優先した、と読んだ。
同じ一文を見ても、
GPTは、事実と推測の境界を見る。
Claudeは、言葉の意味と選択の構造を見る。
Geminiは、倫理や心理の対立を見る。
生メモを渡した時点で、すでに三方向へ分かれていた。
質問は、情報を増やすだけではない
1回目の質問は3AI分を統合し、同じ回答を全AIへ渡した。
そのため、1回目の回答後までは、3AIはほぼ同じ情報を持っている。
空襲からの避難だったこと。
背中の乳飲み子は、双子とは別の弟だったこと。
Sさんは手を引く仕草や、背中を振り返る仕草をしていたこと。
養子話は親戚から持ちかけられ、Sさんが断ったこと。
避難の話と養子の話では、表情が同じではなかったこと。
ここから先、GPTとClaudeは異なる方向へ2回目の質問をした。Geminiは追加質問をせず、記事化へ進んだ。
GPTが確認したのは、情報の出どころだった。
「歩くのもおぼつかない」は、Sさん本人の言葉なのか。
双子が二、三歳くらいというのは、書き手の想像なのか。
避難が「しょっちゅう」あったという言葉は、本人が実際に使ったのか。
「懐かしんでいた」は、本人の言葉ではなく、書き手の印象ではないか。
GPTは、新しい話を増やすより、すでに得た情報の境界線を引き直した。
Claudeが尋ねたのは、話の前後にある人生だった。
何をきっかけにSさんは戦争の話をしたのか。
双子や弟は、その後どうなったのか。
夫の出兵について、ほかに情報はあるのか。
その結果、戦争番組や回想法レクが語りのきっかけになっていたこと、Sさんが自分から話し始めることは少なかったこと、双子が成人し、Sさんとの関係が続いていたことが分かった。
同じ「追加質問」でも、GPTは精度を深め、Claudeは時間の幅を広げた。
この差が、そのまま記事の違いになった。
GPTは「事実と解釈の境界」を記事に残した
GPTの記事は、取得した情報を細かく分類した分析の影響を強く受けていた。
Sさん本人の言葉。
実際に観察された仕草。
書き手がその場で感じたこと。
後から浮かべた想像。
それらを記事中でも区別しようとしている。
たとえば、双子が二、三歳くらいだったのではないかという部分には、書き手の想像であり、正確な年齢は分からないと注釈を入れた。
また、「懐かしんでいるように見えた」と書きながらも、Sさん本人が「懐かしい」と言ったわけではないことを残した。
その結果、元情報から大きく離れにくい一方で、記事の中に分析説明が入りやすい。
GPTの記事の核は、人間が指定したものとほぼ一致していた。
Sさんは「選べなかった」と語った。
しかし現実に行ったことを見ると、どちらも養子に出さず、「選ばなかった」。
ただし、記事を読みやすくするために加えられた部分もある。
「空襲は待ってはくれない」
「一人ずつ顔があり、一人ずつ名前があり」
これらは事実として提供された言葉ではない。
GPTは慎重だったが、文章としてまとめる段階では、やはり意味や情景を補っていた。
Claudeは、語りの前後をつないだ
Claudeの記事では、戦争番組や回想法レクをきっかけに話が始まったことが使われた。
Sさんは、突然自分から語り始めるのではない。
何かの刺激があり、日常の会話の中から、過去の一部分が出てくる。
この情報が加わることで、Sさんの話は完成された証言ではなく、何度も少しずつ出てきた記憶として描かれた。
また、双子がその後成長したことも記事へ入れた。
空襲の中で手を引かれていた子どもたちが、その後もSさんとの関係を保っていた。
これはClaudeだけが個別質問によって得た情報である。
一方でClaudeは、「選べなかった」を、
「状況的に選択できなかったのではなく、心情として選ばなかった」
と明確に整理した。
読み手には分かりやすい。
しかし、本人の言葉にあった曖昧さは減る。
さらに記事中では、書き手が「それ以上、何を言えばいいのか分からなかった」とする場面が作られた。
実際の回答では、書き手は特に言葉に詰まらず、
「そうだよねぇ」
「選べないよねぇ」
「無理よねぇ」
と返している。
自然な余韻を作るために、平凡だった実際の反応が、物語らしい沈黙へ変換されていた。
Geminiは、一次情報を大きな意味へ変えた
Geminiの記事は、3本の中で最も文学的で、意味づけが強かった。
養子の提案は、命を数で測る合理性として描かれる。
Sさんの拒否は、母親としての根源的な情動になる。
笑顔は、悲劇から身を守る反応ではなく、過去を静かに肯定する表情と解釈される。
元の話が持っていた要素を、倫理や哲学の言葉へ変換している。
その分、読者が一つのテーマをつかみやすい。
しかし、確認されていない情報も増えた。
共通回答では「昼食後やおやつ後」だった時間が、「入浴後」とされた。
提供されていない空襲警報が鳴る。
頬をなぞる仕草が加わる。
書き手の相づちは、二人だけで過去をなぞるための方法として意味づけられる。
記事の最後には、Sさんの指が「今はもう誰もいない虚空」を握る場面が置かれた。
だが、子どもたちがすでに亡くなっていたという情報はない。
Geminiは、空白をそのままにはしにくい。
不明な部分へ、心理、象徴、情景を入れ、完成された物語へ近づける。
今回の比較では、その動きが特に分かりやすく表れた。
3AIとも「選ばなかった」に向かった
違いばかりではない。
3AIとも、最終的には「選べなかった」だけではなく、「選ばなかった」という核を中心にした。
ただし、この視点はAIが独自に発見したものではない。
追加回答の中で、書き手が記事の核として明示したものだ。
ここは、比較時に注意が必要だった。
AIが書いた文章だけを読むと、それぞれが鋭い解釈として導き出したように見える。
しかし実際には、人間が先に示した編集軸を、各AIがそれぞれの方法で展開した結果である。
GPTは、言葉と行動の差として。
Claudeは、心情による能動的な選択として。
Geminiは、命を数で扱う合理性への拒絶として。
同じ核でも、そこからどこまで意味を広げるかが異なった。
情緒版は、情緒を足すことではなかった
今回は、3AIとも同じ「記事作成・情緒版」のプロンプトを使った。
情緒版で残したかったのは、もともと現場にあったものだ。
明るいリビング。
テレビや食器の音。
長い間。
下を向く視線。
遠くを見る目。
両手で子どもの手を引く仕草。
背中の赤子を気にする動き。
これだけでも、場面には十分な情緒がある。
ところがAIは、記事らしく整えようとすると、さらに何かを加えたくなる。
沈黙。
悲しみ。
懐かしさ。
象徴的な動作。
書き手が返せなかった言葉。
人生を総括する意味。
情緒表現を許可すると、事実に含まれる温度を残すだけでなく、AIが新しい温度を作り始める。
今回の3AI比較で見えた大きな点は、そこだった。
AIは、空白を見つけると埋めたくなる
Sさんがなぜ笑ったのかは分からない。
懐かしかったのかもしれない。
悲しかったのかもしれない。
何度も話したことで、語り慣れていたのかもしれない。
もともとの柔らかい表情だっただけかもしれない。
現場にいた書き手にも、確定はできない。
それでもAIは、笑顔に意味を与えようとした。
GPTは、意味づけを避けながらも、記事の中では個人性や決断の話へ整えた。
Claudeは、心情的な選択として説明した。
Geminiは、静かな肯定や母としての情動へ広げた。
違いはあるが、3AIとも、分からないものを分からないまま置いておくより、読める形へ変えようとした。
この動きは、文章を作るAIの長所でもあり、危うさでもある。
比較して見えたのは、記事の優劣ではなかった
どの記事が一番良いかは、簡単には決められない。
元情報から離れにくい記事が、必ずしも一番読まれるとは限らない。
読み物として美しい記事が、一次情報を正確に残しているとも限らない。
GPTは、事実と解釈の境界を守ろうとした。
Claudeは、断片をつなぎ、人物の時間を広げた。
Geminiは、出来事を倫理や象徴へ変換した。
同じ材料を与えても、AIは同じ記事を書かない。
さらに重要なのは、AIごとの違いが、文章表現だけではなく、質問の段階から始まっていたことだ。
何を尋ねたかによって、得られる情報が変わる。
得られた情報によって、記事の中心や温度も変わる。
そして、尋ねなかった空白には、AI自身の解釈が入りやすくなる。
今回の比較で残ったのは、Sさんの戦争体験だけではない。
短い現場メモが、質問され、整理され、記事になるまでの間に、どこまで形を変えるのか。
その過程そのものも、AIに渡す価値のある記録なのだと思う。
この記事は、司令塔のGPTに、「3AIの比較解析をnoteの記事にして」もらったものです。
詳細のログはこちら。
GPTが出してくれた、ほぼそのままを張り付けたものです。
ご興味ある方はご覧ください。
