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あの日は、前から楽しみにしていた飲み会だった。

いつもなら、だいたいテーブル席である。

しかし、あの日に限って、なぜか座敷だった。

よりによって、あの日は、
よりによって、座敷だった...…

どうやらあの日は、
足元に厳しい日だったらしい...…


ん?、ん?
何のことでしょう?

独特の、あの足の匂いですか?

いや、違います。

あの日は、
匂いの問題ではありませんでした。「ホッ」

もっと静かで、
もっと小さくて、
もっと恥ずかしい問題でした..…  


座敷は違う。

靴を脱ぐ。

つまり、いつもは隠れている足元のTPOが試される場である。

その審査に、私は何の準備もなく挑んでしまった!

私は何も疑わず、店の入口で靴を脱いだ。

その瞬間だった。

右足の親指が、こちらを見てニッコリ笑っていた。

...........…🐥🐥🐥🐥

...............................…🐓🐓🐓🐓

.......................................................…🐧🐧🐧🐧

....................................…🐥🐓🐧🐥





「コンニチハ!」.… 

いや、正確には、
靴下の先にポッカリと空いた穴から、
親指が堂々と顔を出していた。

「イヤ、今は君に会いたくなかった!」


題名:靴下の親指が隠れない話

私の足の親指は、
「コンバンハ」と言わんばかりに、
こちらを見てにっこりしていた。

私は一瞬、冷っとした。

背中ではなく、
なぜか足元から変な汗💦💦が出てくるような気がした。

恥ずかしい😫😫

出てこなくていい。
今日は君の出番ではない。


朝、家を出るときは気づかなかった。

靴を履いている間、
靴下は静かに秘密を隠していた。

靴とは、足元の秘密を守る最後の砦である。

しかし、座敷は違う。

靴を脱いだ瞬間、
その砦はあっけなく崩れた。

まるで、足元の記者会見📷である。

隠していた事実が、
突然、世間に公表される。

「私にも隠し事があったとは……。」靴下よー

しかも、その証拠は、
右足の親指の先から堂々と顔を出していた。

「何か、私に不満でもあったのか?」

なぜ、こんな時に限って、
「そんなに自分を主張するのだ!」
「反抗期か!?」

……。

もちろん、親指は何も答えない。

ただ、にっこりと顔を出しているだけだった。


私はそっと足の指を丸めた。

そして、あぐらをかきながら、
どうにか右足を左足の下にして隠そうと試みた。

できるだけ自然に。
できるだけ何事もなかったように。

しかし目的は、ただひとつ。

親指を隠すことである。


席に着いてからも、私は落ち着かなかった。

会話には参加している。

笑っている。

相づちも打っている。

しかし、意識の七割は右足の親指にある。

周りの視線も、妙に気になる。

もちろん、誰も私の足元なんて見ていない。

分かっている。

分かっているのに、
なぜか全員が親指に気づいている気がする。

料理が来ても、親指。

乾杯しても、親指。

誰かが面白い話をしていても、親指。

今日いちばん存在感があるのは、
間違いなく私の親指だった。


これはもう飲み会ではない。

足元の防衛戦である。

周りから見れば、
ただ静かにあぐらをかいているだけの男。

しかし内側では、
親指をめぐる激しい攻防が続いていた。

右足を少し引っ込める。

すると、親指も少し顔を出す。

左足の下に隠したつもりなのに、
また、「にっこり」こちらを見ている。

「やめなさい!」

今は飲み会であって、
君の(親指)の自己紹介タイムではない。


それでも、時間は進む。

飲み会も進む。

会話も進む。

しかし、私の心だけは、
ずっと入口で靴を脱いだ瞬間に取り残されていた・・・・・

座敷というものは、恐ろしい。

テーブル席なら、まだよかった。

椅子に座っていれば、
足元の秘密はだいたい守られる。

しかし、座敷ではそうはいかない。

料理の味よりも、
会話の内容よりも、
足元の一点が気になってしまう。


親指のせいで、
飲み会中、私は一度も立ち上がることができなかった。

実は、少しトイレにも行きたかった。

しかし、立ち上がるということは、
足元をもう一度、世間に公開するということである。

それはできない。

私は座ったまま、
親指との無言の会話を続けていた。

「もう少し引っ込んでくれないか!」

……。

もちろん、親指は何も答えない。

ただ、「にっこり」と顔を出しているだけだった。


今日の話に、大きなオチはない。

親指は、最後まで隠れなかった。

私の視線は、何度も足元に落ちた。

飲み会なのに、気分まで少し落ちた。

そして、私の余裕には、
靴下の穴より大きな穴が空いていた。


落ちの無い話ですが、今日はこの辺で。

靴下は履いていました。
でも、安心感は履き忘れていました。

PS:それ以降、私の鞄には新品の靴下がいつも2足
    出番をまっています。


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