先読みレビュー「透明なぼくらのレモンとキス」(偕成社)神戸遥真 2026/05/15刊行

「大したことじゃない」と透明にされた私の傷を、この本が言葉にして救ってくれた。

私には過去に痴漢に遭った経験があります。当時はショックを受ける程状況が整理できず、どこかで「もしかして勘違いかも」「あたっただけかも」と自分に言い聞かせ、蓋をして生きてきました。だからこそ、湊斗が抱える苦しみや恐怖、言葉にできない葛藤が痛いほどリアルに伝わり、強く共感せずにはいられませんでした。

周囲から「大したことなくない?」と軽く扱われていた側の人間が、自分の傷の深さに「気付く」瞬間があります。そのとき、ずっと私の心の中で凍りついていた「本当はものすごく怖かった、嫌だった」という感情が、初めてちゃんと言葉になって外に引き出され、驚くほど気持ちが整理されていくのを感じました。

私は自分で自分を透明にしちゃっているんだと気づくことができた一冊です。


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