【エッセイ】SAMSARA―聖と俗の交差点
SAMSARAの香りは情事の後のベッドの匂いに似ていると誰かが言った。
シトラスの爽やかな香りはすぐにジャスミンの、植物でありながら少し動物的でもある香りと、イランイランの濃厚で官能的な香りに覆われる。
少し遅れてサンダルウッドのウッディな香りと、バニラの甘く滑らかな香りが肌の温かさと連なって鼻腔を追いかけてくる。
アイリスのパウダリーな香りは、まるで年齢を重ねた女性の白粉のようだ。
ジャスミンとサンダルウッドという、寺院で使われる神聖な香料が、ベッドの残り香を思わせるなんて、ゲランはなんて素敵で魅惑的な、そして生命の本質をついた香りを生み出したんだろう。
『SAMSARA』という名前は、サンスクリット語の「संसार(saṃsāra/サンサーラ)」、生と死を繰り返す「輪廻」を意味する。
しかしその濃く官能的な香りはきっと、それを纏う者も、魅惑される者も選ぶだろう。
SAMSARAを寝香水として纏う夜、わたしの心は愛する人に包まれる。
