ムーさんと味の終点。
休日出勤の帰り道。
びっしょりかいた汗で、
ぐっしょり濡れたワイシャツ。
車のエアコンで冷やされて、
絶妙に着心地が悪い。
一刻も早く帰って、
お風呂に入りたい。
……そんな時に掛かってくる
妻からの電話が、
いい話な訳がない。
地域のお祭りの準備で、
夕飯を作れなかったらしい。
自分たちは済ませてきたから、
ムーさんも適当に済ませてほしいと。
……へいへい。
さて、どうしたものか。
汗びしょのまま、
正直どこにも行きたくない。
汗だくの牛が入ってきても、
お店の人も嫌でしょうに。
スーパーのお弁当でも買うか。
……いや、
この時間じゃもう残ってなさそうだ。
むー。
いっそ全員、
頭のてっぺんから爪先まで
汗だくになってしまえばいいのに。
そうすれば、
私の汗なんて誰も気にしないだろう。
……って、それだ!!!
あるじゃないか。
汗をかいていても、
まったく不自然じゃない店が。
汗は、汗の中に隠せばいい。
そうしてやって来たのは、
もちろん。
……いつものカレー屋である。
最初から汗だくの私には、
恐れるものなど何もない。
とどのつまり、
ヤケクソである。
行けるところまで行ったれ。
マトンカレー。
チーズナンセット。
辛さは辛口。
追加でターメリックライス。
ドリンクは、
ブルーベリーラッシー。
届くや否やサラダを瞬殺し、
次の標的を狙い定める私は、
もはやカレーターミネーター。
疲れた体に、
チーズナンと一緒に
辛口マトンカレーを流し込む。
噴き出る汗は、
滝の如し。
でも、
まったく気にならない。
これは、
食べるサウナなんだ。
一口食べるたび、
整っていく体と心。
無我夢中で食べ進め、
気付けば終点は目前だ。
残ったカレーも、
ターメリックライスが
きれいに掠め取り、
いよいよフィナーレ。
その時だった。
チラリと目に入った
デザート欄に、
見てはならないものを
見てしまった。
まさか……
アレは……!
しかし、
アレを頼んでしまったら。
私の体は、
どうなってしまうのか。
……いや。
行けるところまで行く。
私は、
そう決めたんだ。
震える声で、
牛が禁断の甘味をコールする。
クラブジャムン!!!




テイクアウトで買うのもいい。



