【感想】嗤う蟲
嗤う蟲を観ました。ホラーでないことだけ確認して、あとは勢いでチケット取りました。
本作を観ようと思った理由
若葉くんが出ている!それだけ!
全体的な感想
田舎移住系の話だったので、絶対に田舎暮らし上手くいかないだろうな〜という予想はできたものの、最後はびっくりな話でした。
若葉くん、あまりいいとこなしで、どちらかというと深川麻衣ちゃんがとにかく頑張った!という感じ。この作品見て深川麻衣ちゃん好きになっちゃいました。
解決はするものの、全体的にずっと暗いというか薄気味悪いというか、そういうテンションでいい気分にはなれないので、元気だそう!と思ってこの作品を観るのはお勧めできません。でも、田舎に住んだことがある人ならきっと分かる!と思うことたくさん出てくるはず。
*ここからはネタバレを含みます。
冒頭から移住まで
映画の最初はレオン(ワンちゃん!)から始まり、わんわん最高!かわいい!ありがとう!とテンション高く観ていたものの、田舎移住して隣に住んでいる三橋さんが挨拶に来たあたりから、おや・・・と思い始めました。
とにかく麻宮村の人、薄気味悪すぎる・・・。
最初の方、田久保さんが電灯を取り替えてもらったところの村人からの拍手が全力すぎて怖かったです。取り替えてもらうまでの手続きしただけでこんなに感謝され褒め称えられるの宗教でしょ、と思いました。ありがっさまという方言にすらも同じ言葉を使う共同体という認識を持たせる道具に感じる・・・。
村での暮らし
苗字違うから仲悪いっていう考え方が面白すぎて草でした。んなわけあるかい。仲悪いのに夫婦揃って田舎に越してくるわけあるかい。
それから、子供は?ってめっちゃ聞かれるの嫌だよな〜村に時代が通用しないことは分かっているものの、やはり嫌だよな〜。しかも村でずっと暮らしてて距離が近い人ならまだしも、越してきたばかりの人によく聞けるわ、と。その後も精のつく食べ物や、妊娠にいいらしいカボチャなどを食べさせてくる厚かましさも、村って感じするわ〜と感心しました。
そして、村での暮らしで輝道と杏奈の考え方の違いが少しずつ浮き彫りになってきますね。村でのコミュニケーションも大事と思っている輝道と、流石に介入がすぎると思っている杏奈。なんか、結婚して姑に強く出られない夫とそれを咎める嫁を思い出しました。無農薬にこだわって始めたはずの農業も、気がつけば田久保さんの勧めるままに農薬を使うことになっていたり。輝道の芯のなさに、驚きもあったはず。それが村でうまくやっていくためだとしても。
そして妊娠、出産。順当に子供ができて、2人は子供欲しくない派なのかと思っていたので驚きましたが、おめでたいことなので無事に生まれてよかった!
でもここからが地獄の始まりですね・・・。
村の子
杏奈たちの子供が村の人たちから喜ばれる反面、介入が半端ない。杏奈も言っていたけど、おめでとうではなくありがとう、なの怖すぎますね。村の子とか呼ばれて、抱っこのたらい回しにされたり、田久保が勝手によしこを杏奈のところに向かわせたり。流石に家に勝手に入ってきてミルクあげていたのは怖かった。杉田かおるさんが名演技してます。田舎って勝手に他人が家に入ってくるんですよね〜これは本当ど田舎あるあるというか、ありがた迷惑な時もありますよね。そしてよしこに怒る杏奈、しかしよしこはあつおを抱っこしたまま、変な人でしゅね〜とあつおに言う。これ!あるあるだ〜・・・と思いました。一番イラっとするやつ・・・。
やばい掟
何度か大麻を栽培しているシーンはあったのですが、三橋さんがけちょんけんちょんにされていたので全然気が付きませんでした。あれ大麻だったんか・・・。麻宮村の麻って大麻の麻かよ!と気が付きました。
大麻作りに勧誘される輝道。許可されている部分だけの収穫と言っていたけれど、怪しい感じすごいするじゃん!そもそも村の雰囲気とか、田久保さんへの信仰心とか・・・。逃げてー!もうこんな村逃げてー!と思ったけれど、輝道全然出て行かない。杏奈が不審がっているにも関わらず全然村から出て行かないのすごいな・・・と思いました。
そして三橋さん殺害の罪をなすり付けられる輝道・・・。人を車で引いてしまった動揺はわかるけど、よくみて!どう見てもすでに死んでるから!!死後硬直してるから!!警察に通報して飲酒運転を自白した方がよっぽどいいから!とかなり心の中がわちゃわちゃしていました。
そして輝道を見事大麻作りに誘導成功する田久保さん。もっといい頭の使い所ある〜・・・。
信じてくれない夫
杏奈と輝道夫婦で、2点これは・・・と思った点がありました。一つは、子供ができて働きながら子育てに奮闘する杏奈に対して「母親の仕事じゃん」的な発言をするところ。すぐに輝道は謝りますが、これって結婚する前にきちんと確認しておかないとダメなやつだなと思いました。この発言ってこの異常な村のせいではなくて、輝道本人の考え方の問題だと思うのです。だから、将来子供ができた時、どれほど協力的であるか、というか主体的に動いてくれるのか、結婚前から確認しておかないとこういうところですれ違うなと思いました。さらに村に来てから結構流されるままに妊娠、となった雰囲気があるので、2人できちんと話し合っておくの大事だなと感じました。
2点目は、輝道が田久保さんに大麻作りの勧誘を受けて断った後、杏奈に対して村人が冷たい態度をとった時、との話をしても「勘違いじゃない?」と信じてくれなかったこと。自分の妻がそんな嘘をつくような人間ではないことはわかっているはずなのに、信じようとしない。これはひどい。
逃げられない
杏奈が大麻を栽培していることなどに気が付き、駐在さんに伝えるも、駐在さんもグルだから問題ないと丸め込まれてしまう。そして様々な疑念を持つ杏奈がやっと村から出ようと決意するのに、村人たちに捕まってしまう。怖すぎ・・・。確かに子供ができた時に街の病院に行くために村を出たらどこに行っていたのかと咎められるシーンあったけど、これはその予兆ですね。そのまま勾留される杏奈。いやいや、もう度を超えている・・・駐在さんここまで巻き込めるのってやはり村だからなんだろうなと思いました。何してても全然バレなそうですもんね。駐在さんも田久保さんに弱みを握られていて、こんなこと辞めたいって気持ちはあるのにすんなりいかない。駐在さんの仕組みがわからないんですが、担当交代的なのないんですかね。いじめんでおくれ〜も、印象に残った言葉ですが、田久保さんが使うと溜め息をつきたくなりました。
休みたいと言ったら村八分
大麻作りに精を出す輝道ですが、杏奈とも喧嘩ばかり。子供もまだ小さいですし、少し休みたいと言うと田久保さんが好きにせえとキレる。えー・・・休ませてあげてよ・・・三橋さん殺して人手不足にしたのアンタじゃん〜・・・。そして始まる村八分。やばいですね。昔は、例えば農薬を断ったりしても、田久保さんの機嫌は悪くなるものの村ぐるみでの村八分的な行動まではしてこなかったのに、やはり三橋さんの死体遺棄、大麻作りとどんどん深く関わっていってしまってからはちょっとでも言うこと聞かないと村八分にしてくる。こうやって信者を増やしていってたんですね。相手の弱みを見つけて握ってそして操る。やなやつですね〜。政治家にいそう。
村八分にされたことに気がついた輝道が田久保さんに謝りに行く時の田久保さんの顔が怖すぎて、逆に笑いそうになりました。あと苗字が違うから喧嘩するんだ、みたいなことをまた言ってる村人たちいて笑ってしまいました。
それにしても、レオンの餌に農薬混ぜた奴は許さん!出てこい!
始まる地獄の火祭り
杏奈ももう、全てのことに耐えられない状況まで来ていましたね。生活がストレスフルすぎて仕事もうまくいかないし、輝道は隠し事してるし、意味わかんないし・・・。村人たちとのコミュニケーションでも無表情で全く笑わなくなっていました。そして火祭りの準備が始まり、輝道の服から倉庫の鍵を見つける。
そしてクライマックス!火祭りの火薬の中に大麻入れるの頭良すぎです!よくやった!と心の底からガッツポーズ。きちんと証拠写真も撮って警察に通報までしていたようですね。用意周到。
祭りに参加していた村人がみんな知らぬ間に大麻を浴びて吸って、テンションが上がってちゃって笑っている姿は不気味で怖かったですね。
そしてなんとか逃げた杏奈の足を田久保が掴む・・・。しぶといな〜・・・車まで無事に来られたから、絶対なんかあると思ったらお前かー!何を言うのかと思ったら、村の子とか言っててもう・・・そして輝道の唯一褒め称えたい行動、田久保さんを止める。が発動!杏奈に「行け」と言うのもよかったです。自分はもうダメなところまで来てしまっていると、やっと自覚してくれたような気がしました。
最後、車内には輝道の姿が。杏奈、捨てきれなかったんだね・・・。私なら多分捨てていく。すれ違うパトカーの横を通り抜けて、今まで無表情か怒りしか出してこなかった杏奈が小さく嗤う。この嗤うは、笑うではなく人を見下して嘲り笑う方の嗤うでしたね。
嗤う蟲
人の闇、集団の闇、田舎の闇・・・自由大好き人間としては、やはりあんな生活耐えられないです。田舎が全て悪いわけではないけれど、未だにああいう集落はありそうな気がします。大自然の前では、協力し合って生きていかないと人間なんて生きていけないのも事実でしょうし、それでもあんな風に苦しむ人たちがいないことを祈るばかりです。
エンドロールの後、村への道は通行止めになっていて、あの道しかないと言っていたから誰も来られない状況なんでしょう。村の人たちはどこまで逮捕されたんでしょうね。本当に村ぐるみの動きだったので、みんな知っていたんでしょうし。そして杏奈たちが入居した時にいた黄金虫が飛び去っていくところで終了します。
田久保さん含め、村人が取ってつけたような、顔に何か張り付いているような笑いを終始していたのですごく不気味でした。しかしラストにスカッとする部分もあり、鑑賞後感は一応、よかった〜でした。闇が深すぎて、なんだか消化しきれていないところもありますが、より自分の価値観が明確になったと言いますか、自由がないところで暮らしていけないなと思えましたし、深川麻衣ちゃんも好きになれたので観てよかった作品です。
