いったい、なんの話ですか?
暑さでぐったりして、何もやる気が起きなかった昨日の午後。
そんな中、結城開人さんから「スキ」が届いた。
普段あまり接点がないだけに、「おや?」と思い、お礼を兼ねて記事を読みに行ってみた。
すると、投稿されたばかりのショートショート『一枚の紙と、偉大な一歩』が目に飛び込んできた。
タイトルに惹かれて読み始めると、真夏の外回り中、百貨店のトイレでトイレットペーパーが切れ、スマホの充電まで尽きてしまうという、まさかの状況から物語が始まる。
とにかくテンポがよく、何度も吹き出してしまった。
一番奥の個室で紙がないことに気づいた主人公が、剣道で鍛えた「すり足」を駆使し、真ん中の個室へ“偉大な一歩”を踏み出す場面は、緊張感とユーモアのギャップがたまらない。
ところが、ようやくたどり着いた真ん中の個室にも紙はなく、空の芯だけ。
さらに隣へ入ってきた人と意気投合し、
「せーの!」と声を合わせて助けを呼ぶ展開は、あまりにも予想外で笑ってしまった。
そして、ようやく現れた"救援"まで同じ状況に陥るという見事なオチ。最後の一行まで、笑いが止まらなかった。気がつけば、一気に読み終えていた。
日本のトイレで、三つの個室すべての紙がなくなっているなんて、現実にはまず考えられない。
だからこそ、思わず「いや、いったい何の話ですか?!」と画面に向かってツッコミを入れたくなった。
けれど、その「あり得なさ」を誰もが本気で受け止め、まるで命がけの任務のように描くからこそ、こんなにも笑えてしまうのだろう。
「たった一枚の紙」をめぐる話なのに、読み終えたあとに残るのは紙のことではない。笑うことの楽しさと、それを物語に変えてしまう作者の発想力だった。
これまでも結城さんの記事は読んでいたが、今回のように振り切ったコメディ作品は初めてだった。
こんなにも思い切り笑わせる文章を書ける方だったのかと、新しい一面を知った気がする。一人の人間の魅力というのは、本当に一筋縄では語れないものだ。
暑さで文章を書く気力すら失っていた午後だった。それなのに、このショートショートを読んで思い切り笑ったあと、不思議なくらい心が軽くなっていた。
主人公が踏み出した「偉大な一歩」は、一枚の紙を探すための一歩だったのかもしれない。
でも、その一歩は、暑さで止まっていた私の気持ちまで、少し前へ動かしてくれたような気がした。
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