漆器のケアは、お肌と一緒。

漆器はお肌と同じ。

漆器を使いたいけど、扱いが難しそうで踏み出せない。
そんな人に、一つだけ覚えてほしいことがある。

漆器のケアは、あなたのお肌と同じ。
これだけ知っていれば、細かいことは後からついてくる。

なぜ「お肌と一緒」なのか

漆器の素地は木で、表面を天然の漆が覆っている。どちらも天然素材だ。天然素材は、極端な刺激に弱い。

これは人間の肌と同じ。
乾燥すればカサカサになる。
長時間水に浸かればふやける。
熱すぎると火傷する。
紫外線を浴び続ければいつのまにかしみ・しわ・そばかすができる。
強い衝撃を受ければ傷がつく。

漆器も、まったく同じだ。
だから困ったとき、こう問いかけてみてほしい。
「この環境で、私のお肌は喜ぶか」と。
それがそのまま、漆器への答えになる。

4つの苦手、お肌で読み解く

乾燥と長時間の浸水
乾燥した環境に長く置かれると、木地が収縮してひびが入ることがある。逆に、長時間水に浸けておくと木地に水分が染み込み、歪みや割れの原因になる。

肌に置き換えると、乾燥した場所に長時間いると荒れる。長風呂でふやけすぎるのも良くない。「適度な潤いを保つ」が正解だ。

対処法は隙あらば使って、食べ終わったら洗ってすぐ乾拭きして食器棚にしまう。毎日使うことが自ずとメンテナンスになる。

熱(電子レンジ・食洗機・食器乾燥機)

急激な高温と乾いた熱が重なると、木地と漆の塗膜がそれぞれ異なる速度で膨張し、ひずみが生じる。電子レンジと食洗機・食器乾燥機が使えない理由はここにある。

肌に置き換えると、熱いシャワーを長時間浴び続けると荒れる。ドライヤーを近づけすぎると焦げる。「適温で、乾かしすぎない」が正解だ。

対処法は温め直しは別の器に移す。食洗機は使わず、柔らかいスポンジで手洗いする。一分もかからない。

紫外線

漆は酸にもアルカリにも強いが、紫外線だけは苦手だ。紫外線が漆の塗膜の結合を少しずつ切断し、光沢が失われ、表面が粉化していく。すぐには気づかず、じわじわ進む。

肌に置き換えると、毎日少しずつ紫外線を浴び続けると、気づいたときにはシミやそばかすができている。日焼け止めを塗りたいところだが漆器には無理なので「日陰に置く」が正解だ。

対処法はシンプルだ。直射日光の当たらない場所に保管する。普通の食器棚にしまうだけでいい。

傷・衝撃

漆は丈夫だが、硬いものが当たれば傷がつく。金属カトラリー、硬いスポンジ、陶器との接触が主な原因だ。落としても案外大丈夫なことが多いが、落とさないに越したことはない。

肌に置き換えると、鋭いものが当たれば擦れたり切れる。強くこすれば擦り傷になる。「丁寧に扱う、硬いものと接触させない」が正解だ。

対処法はシンプルだ。金属カトラリーを避け、柔らかいスポンジで洗い、漆器同士で重ねるか間に布を挟む。

「絶対ダメ」ではない

ここまで読んで、難しそうだと感じた人に伝えたいことがある。漆器の苦手なことは、「一度でもしたら使えなくなる」ものではない。

ずっと放置してしまってもも、何年で壊れるというわけではない。また、直射日光に少し当たったからといって、即座に劣化するわけでもない。

漆は丈夫だ。だからこそ、何百年も使われてきた。「知っていれば避けられる」ことを積み重ねていくだけでいい。

万が一傷んでも、修理できる。漆器は壊れたら終わりではなく、直して使い続けられる道具だ。

使っていく中で、わかってくる

最初から完璧に扱えなくていい。

使いながら、この器はこういう感触があるとわかってくる。洗いながら、このキュッキュッという感触が心地よいとわかってくる。拭きながら、少しずつ艶が増しているとわかってくる。

それが積み重なって、漆器が生活に溶け込んでいく。使うたびに五感を満たしてくれる道具になっていく。

漆器は難しくも、繊細でもない。お肌と一緒のケアで、何十年も使い続けられる道具だ。

まとめにかえて

漆器のケアは、お肌のケアと同じだ。

乾燥を避ける。浸けっぱなしにしない。急激な高温にさらさない。紫外線を避ける。硬いものとぶつけない。

洗練されて美しく、軽くて丈夫で、断熱性も抗菌性も持ち、使うほどに育つ。そういう道具を毎日の食卓に置くことに、決心するだけでいい。

頑張らなくていい。ただ、本物を選ぶだけ。
時間は増やせないけれど、質は変えられる。

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『丁寧な暮らしを』と頑張らなくていい。
ただ、本物を選ぶだけ。
時間は増やせないけれど、質は変えられる。

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