漆器のメリット3/8 : 軽くて、丈夫

漆器は繊細で扱いが難しい、は誤解です。
漆器を使ったことのない人に「使ってみようと思わない理由」を聞くと、よく出てくる答えがある。
「扱いが難しそう」「割れそう」「手入れが大変そう」。

全部、誤解だ。

陶器より、大幅に軽い

漆器を初めて手にした人が最初に驚くのは、まずその軽さ。
漆器は木を素地として、その上に漆を塗り重ねて仕上げる。木は陶器や磁器と比べて、大幅に軽い素材だ。漆器の汁椀は約100グラムで陶磁器やガラスの約半分、同じ重さであれば「大ぶりのガラスコップ1個」と言われている。

漆は、甲冑にも使われた素材だ

「軽い=華奢」というイメージがあるかもしれない。でも漆器の丈夫さは、歴史が証明している。

日本の甲冑は、鉄片や革に漆を施し糸で編み上げる精巧な構造で作られており、 戦場での防具として長く使われてきた。漆はその接着力と耐久性から、命を守る道具の素材として選ばれていたのだ。漆の塗膜は堅く割れにくい。さらに酸、アルカリ、塩分、アルコールにも強く、防腐性にも優れている。食器として毎日使う分には、十分すぎるほどの丈夫さであり、理由だと言える。

音も天然

漆器を食卓に置いたとき、箸を置いたとき、その音が他の器と違う。金属や陶器のような硬質な音ではなく、柔らかく落ち着いた音。木という天然素材が持つ固有の響きだ。
派手ではない。でもその音が、食事の時間の空気を少しだけ穏やかにする。これは意識しないと気づきにくいが、一度気づくと毎日の食卓で確かめたくなる。

洗い方はシンプル

「手入れが大変そう」という誤解も多い。
使い終わったらぬるま湯で洗う。油汚れがある場合は中性洗剤も使える。洗ったらふきんで拭く。以上だ。

お味噌汁など油分がほぼないような汁物なら、水で濯ぐだけでキュキュッと音がなるほど簡単に綺麗になる。その手触りも心地よい。特別な道具も特別な知識も要らない。漆は一度固まると非常に丈夫な塗膜を作り、酸にもアルカリにも影響を受けない。だから普通に洗って問題ない。

ひとつ気をつけることがあるとすれば、食洗機と電子レンジは避けること。高温になってしまうと内側の生地に歪みが発生して漆器がヒビが入ってしまう恐れがあるからだ。でもそれだけだ。手洗いは一分もかからない。

まとめにかえて

軽くて、丈夫で、洗い方もシンプル。
「漆器は繊細で扱いが難しい」というイメージは、僕たちの生活からいつのまにか距離が置かれてしまった漆器に対する誤解だと言うことがわかる。実際に使ってみれば、その不安は最初の一週間でほぼ消える。

子どもにも、ご高齢の方にも使いやすい器だ。特別な技術は要らない。毎日使って、洗って、拭く。それだけで、器が育っていく。

次回は、漆器のメリット4つ目、**「断熱性」**について話す。

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mono|日常の工芸

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