#209 ニーナ・シモン『シングル・ウーマン』
#ニーナ・シモン は天才だと思う。
以前も書いたけど。彼女の歌声は神のお告げみたいだ。どこまで行っても音楽の神様が微笑んでいる。
彼女の最後の作品『シングル・ウーマン』。
そのひとつ前の『レット・イット・ビー・ミー』が、すこしピリッとした緊張感に欠けた作品だと感じたため「さすがの天才も、歳には勝てないのかな」と思ったりもした。
早熟の天才は、晩年崩れたりするのもよくあるからだ。
けれど、やっぱ、 #ニーナ・シモン は違った。やっぱりこの方はすごい。
彼女はいつも「演奏」に携わっていたけれど、ここでは、あくまで用意されたオーケストラ編曲をバックに歌う「ボーカリスト」に徹している。正直、ファンとしては、あまり食指の動くものではない。
けれど、やはり、ボーカルが素晴らしいのである。もう、段違いなのである。なんとなく、晩年の #ビリー・ホリディ のレコードを思い出すつくりではあるけれど、あくまでビリーは個人的なストーリーテリングであるとするならば、ニーナは、もっと高いもの、神々しいものにむけて歌っているような気がする。美しいオーケストラも彼女の歌唱の飛翔を手伝っている。声は重いが、音楽は軽やかだ。
編曲は非常に素晴らしい。ジャズ的ではないかもしれない。イージーリスニング風といってもいいかもしれない。けれど、そういった「通常の意味での美しさ」を持ったオーケストラに、「深い意味での美しさ」を持ったニーナ・シモンの歌声が重なる。その素晴らしさといったらない。
ふと、#チェット・ベイカー の晩年のオーケストラとの共演シリーズを思い浮かべたりもした。
ボーナストラックも充実しており、 #ビートルズ や #ボブ・ディラン の曲なんかも歌っている。もちろん、ニーナが再構築したオリジナルとは全然違うものとなっている。
晩年とはいいながら、創作意欲は、本人も、製作者側も衰えていなかったようだ。
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