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頭の中だけで回さないための、私のタスク管理

もともと、私はマルチタスクが苦手な方ではありませんでした。

複数の予定を見ながら段取りを組んだり、メールを返しながら次の作業を考えたり、仕事と家庭の予定を切り替えながら動いたりすることは、比較的できる方だったと思います。

ただ、年々、記憶力や集中力の余力は少しずつ変わってきました。更年期や当直により睡眠時間が短い日が続くと、以前なら流せていた小さな確認にも時間がかかるように。だから最近は、自分の頭の中だけで回すのではなく、カレンダーやスプレッドシートに助けてもらうようになりました。

マルチタスクというより、切り替えている

実際、脳科学や認知心理学の分野でも、私たちが「マルチタスク」と呼んでいるものの多くは、複数の作業を本当に同時に処理しているというより、作業と作業のあいだを素早く切り替えている状態だと説明されています。[1,3]

タスクを切り替えるたびに、頭の中では目標を切り替えたり、必要なルールを呼び出したりする負荷が生じます。そのため、切り替えが多すぎると、作業時間が延びたり、ミスが増えたりしやすいとされています。[1]

また、メディア・マルチタスクに関する研究では、複数の情報源を頻繁に切り替える人ほど、不要な情報を抑えたり、注意を制御したりする面に違いがみられることも報告されています。[2]

そう考えると、今の私に必要なのは、たくさんのことを頭の中で抱え続けることではなく、必要なものを必要なときに取り出せる状態にしておくことなのだと思います。

記憶力に頼りすぎない

若い頃は、多少忙しくても「あとでやろう」と頭の中に置いておけました。でも最近は、それをすると抜けます。

返信したつもりでしていなかったり、確認するつもりだったことを後回しにして忘れたり、細かい締切が他の予定に埋もれたりします。

だから、記憶力に頼りすぎないようにしています。

覚えておくのではなく、置く場所を決める。予定はGoogleカレンダーに入れ、細かい仕事のタスクはスプレッドシートに書き出し、返せるメールはできるだけ早く返す。そうして、頭の中に未処理のものを残しすぎないようにしています。

メールは、できるだけその場で返す

メールは、できるだけ早めに返すようにしています。

もちろん、考えないと返せないものや、資料を確認しないと返せないものはすぐには返せません。それでも、短く返せるもの、確認だけで済むもの、日程調整だけのものは、その場で処理します。

これは、相手に早く返すためだけではありません。

「返していないメール」が頭の中に残り続けると、それ自体が小さな負荷になります。返信を一つ終えるたびに、頭の中の未処理ボックスが一つ減る気がします。その結果、次の作業に移りやすくなります。

カレンダーとスプレッドシートを分ける

Googleカレンダーには、時間に紐づく予定を入れています。会議、外勤、子どもの予定、通院、締切、移動を伴う用事などです。雑多な予定も、まずはカレンダーに置きます。

一方で、仕事の細かいタスクは、独自のスプレッドシートで管理しています。

カレンダーは「いつ動くか」を見る場所で、スプレッドシートは「何が残っているか」を見る場所です。この二つを分けると、予定とタスクが頭の中で混ざりにくくなります。

結果として、処理は速くなります。能力が上がったというより、迷う時間と探す時間が減るからです。次に何をするかをその都度思い出す必要がないので、空いた時間にすぐ取りかかれます。

睡眠不足では、結局うまく回らない

ただし、外に出せば何でも回るわけではありません。

睡眠時間が短い日は、明らかに効率が落ちます。特に5時間を切る日が続くと、集中力も判断力も落ちて、メールの文面を何度も読み返したり、簡単な確認に時間がかかったりします。

睡眠不足のときに無理やり頑張ると、作業時間は長くなるのに、進み方は遅くなります。だから、タスク管理は睡眠不足を埋める魔法ではなく、できるだけミスを増やさないための補助輪なのだと思っています。

睡眠と認知機能の研究でも、睡眠制限は注意力や反応速度、作業記憶などに影響することが示されています。たとえば、健康成人を対象にした研究では、睡眠時間を6時間以下に制限する状態が続くと、神経行動機能の低下が蓄積することが報告されています。[4]

自分の実感としても、寝不足の日に「気合いで何とかする」のは、あまりうまくいきません。むしろ、ミスをしないように作業を減らしたり、判断が必要なことを翌日に回したりする方が、結果的には安全です。

趣味の時間も、予定に入れる

趣味の時間も、できるだけ予定として扱うようにしています。

仕事や家のことだけで日々を埋めると、趣味は簡単に後回しになります。チェロのレッスンや練習、ヨガの時間も、気合いで残すのではなく、予定の中に置くようにしています。

もちろん、予定通りにいかない日もあります。それでも、趣味を「余った時間にするもの」と考えると、たぶんずっと後回しになります。だから、自分を保つための予定として、先に場所を作るようにしています。

外に置けるものは、外に置く

予定は予定の場所に置き、タスクはタスクの場所に置く。返せるメールは早めに返し、判断が必要なものは残しておく。

そうやって頭の中に置きっぱなしのものを少し減らすと、そのとき目の前にある一つに戻りやすくなります。昔のように頭の中だけで全部を回すのではなく、外に置けるものは外に置く。今はその方が、仕事も生活も趣味も続けやすいと感じています。

年々、記憶力や集中力の余力は変わっていきます。だからこそ、記憶力に頼りすぎない工夫を増やしています。速くこなすためというより、忘れないために。ミスを減らすために。そして、仕事だけで一日を埋めきらないために。

参考文献

  1. Rubinstein JS, Meyer DE, Evans JE. Executive control of cognitive processes in task switching. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance. 2001;27(4):763–797.
    https://doi.org/10.1037/0096-1523.27.4.763

  2. Ophir E, Nass C, Wagner AD. Cognitive control in media multitaskers. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 2009;106(37):15583–15587.
    https://doi.org/10.1073/pnas.0903620106

  3. Madore KP, Wagner AD. Multicosts of multitasking. Cerebrum. 2019;2019:cer-04-19.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7075496/

  4. Van Dongen HPA, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep. 2003;26(2):117–126.
    https://doi.org/10.1093/sleep/26.2.117

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