なぜ「宮舞モカ」は “ヤンデレ” になったのか? VOICEPEAK界隈で生まれたキャラクター文化
第1章:インターネットで生まれた「もう一つの人格」
最近、合成音声界隈で、ある奇妙な現象が起きています。
それは、
「宮舞モカ=ヤンデレ後輩」
というキャラクター文化。
※ヤンデレとは、
ヤンデレとは「病み」と「デレデレ」を組み合わせたネット用語で、
好きな相手への愛情が強すぎて、少し危うい方向に暴走してしまうキャラクターを指す言葉です。
実はこれ、
公式設定には存在しない性格
なんです。
それなのに、動画文化の中では
なぜかこのイメージが定着していきました。
これは単なるネタではなく、
インターネットでときどき起きる
「キャラクターが別人格を獲得する瞬間」
の一例なのかもしれません。
あらためまして。
YouTubeチャンネル 「シニア恋愛-しっとり朗読」 を運営している momo です。
動画でお届けしている恋愛物語の台本を、
文字でもじっくり味わいたい。
そんな方のために、このnoteという場所で、
物語やその背景について文章を書いています。
第2章:宮舞モカとは、どんなキャラクターなのか
まず最初に、
宮舞モカというキャラクターを
簡単に整理しておきますね。
宮舞モカは、
音声合成ソフト VOICEPEAK の
キャラクターとして登場した合成音声キャラです。
主な情報は次の通りです。
CV:峯田茉優
キャラクターデザイン:みこフライ
開発:AHS
設定としては
高校2年生の少女で、
・猫が好き
・ネットDJをしている
・少し独り言が多い
という、どちらかといえば
落ち着いたインドア系キャラクターです。
一次情報としては、
AHSの公式ページでも
このキャラクター設定が紹介されています。
※参考:AHS公式製品ページ
また、公式Xでも
キャラクター紹介が投稿されていますね。
※参考:AHS公式X投稿
【AHS新キャラクター登場!】
— AHS公式@AHS先生アーカイブ配信チケット発売中! (@ahsoft) September 13, 2023
猫が大好きで全体的に独り言が多めな高校2年生。密かにネットDJをしている。
お気に入りのお店は喫茶店マキ
◆宮舞モカ @miyamaimoca
CV:峯田茉優 @mineda_mayu
キャラクターデザイン/イラスト:みこフライ @mikoillust
※敬称略https://t.co/1UuSeAaPwW pic.twitter.com/GOg605vJOQ
ここで重要なのは、
公式設定には
「ヤンデレ要素」が一切ない
という点です。
つまり現在ネットで広まっている
「ヤンデレ後輩モカ」は
完全にコミュニティから
生まれたキャラクター
なんです。
※ヤンデレの有名例:
アニメ文化では、
例えば 「我妻由乃」 のようなキャラクターが
「ヤンデレ」の代表例として知られています。
第3章:私が宮舞モカを使い始めた理由
ここで少しだけ、私自身の経験を話します。
私は、恋愛をテーマにした物語を朗読する動画を制作しており、その語り手として、いくつかの合成音声ソフトを試してきました。
その中で、宮舞モカの声を初めて聞いたとき、
私はとても自然な印象を受けたんですね。
「とても綺麗で、透明感のある声だな」
感情を大きく表現するというよりも、
静かな温度を持った声。
恋愛の物語の中にある、
少しの戸惑い
ためらい
言葉にしきれない感情
そうした微妙な心の揺れを表現するのに、とても向いている声だと感じたんです。
こうして私は、朗読動画の語り手として宮舞モカを使い始めました。
ところが──
実際に朗読で使ってみると、その印象は静かに覆されます。
あるシーンで、こんな台詞を読ませてみました。
「ねえ……どうして、そんな顔するの?」
ただ、それだけの台詞です。
怒鳴るわけでもない。
泣き叫ぶわけでもない。
むしろ、声はとても静かで、
優しいと言ってもいいくらいのトーンでした。
けれど、その瞬間、自分でも少し驚きました。
「あれ……なんか怖い」
そう感じたのです。
理由は、はっきりしています。
宮舞モカの声は、
感情を強く押し出すタイプではありません。
むしろ逆で、
感情を「隠したまま」話す声。
私は思いました。
この特徴が、
「ヤンデレ」というキャラクター像と
驚くほど相性が良いのではないかと。
たとえば、
怒鳴るヤンデレは、
ある意味でわかりやすい存在ですよね。
狂気が表に出ているからです。
しかし本当に怖いのは、
静かな声で、
普通の会話のように狂気を語る人物
です。
宮舞モカの声は、まさにそれを可能にします。
優しい声。
落ち着いたトーン。
整った発音。
それなのに、
台詞の意味が少しずつ歪んでいく。
そのとき聞き手は、
「この人、怒っているの?」
「それとも笑っているの?」
「……いや、違う。何かおかしい」
そんな不安を感じ始めます。
朗読をしている側としても、
この感覚はかなり独特でした。
声を荒げなくても、
むしろ静かに読むほど、
じわじわと怖くなる。
これは他の音声合成ソフトでは、
意外と出しにくい表現です。
つまり宮舞モカは、
「狂気を演じる声」ではなく
「狂気が滲む声」
なのです。
そして、この特徴こそが、
ヤンデレ役に驚くほどハマる理由
だと、
実際に朗読してみて気づきました。
ここで、実際の雰囲気がわかる
1分ほどの「朗読サンプル」を紹介します。
文章で読むより、
声で聞く方が、きっと早いと思います。
(※筆者が制作した動画の一部です)
【 距離感がバグっている部下と、奥手上司の「妄想」が「現実」に溶け落ちる夜。〈完全版〉】からの 切抜き動画
第4章:ネット文化では、人格はコミュニティが作る
この現象は
宮舞モカだけのものではありません。
インターネットでは
キャラクターはしばしば
コミュニティによって再解釈されます。
例えば
・初音ミク → ネギ文化
・ずんだもん → 闇堕ちネタ
・春日部つむぎ → ギャル文化
こうした例は
すべて公式設定ではありません。
しかし、ファンの創作や
コメントの積み重ねによって
新しい人格
が生まれていったのです。
宮舞モカのヤンデレ文化は、
その面白い瞬間の記録なのかもしれません。
そして今もどこかで、
新しいキャラクター文化が
静かに生まれているのかもしれない。
もしあなたにも
「ネットで生まれたキャラクター解釈」の
面白い例があれば、ぜひコメントで教えてください。
そして、もしこの記事が、
あなたの中の何かをそっと揺らしたなら、
「スキ」を押していただけると、
次の物語を書く勇気になります。
※ちなみに、
今回紹介した朗読サンプルの完全版は、こちらで公開しています。
宮舞モカの声が、物語の中でどんな空気を作るのか。
興味があれば、少しだけ覗いてみてください。
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