第一回「料理人が、考える理由」
はじめまして。
名古屋・覚王山で、夫婦二人の和食店「百花繚蘭」を営む料理人です。
料理人は、料理を作る仕事だと思っていた。
でも、店を続けるほど、
作る時間より、考える時間の方が長くなった。
市場を歩く。
目当ての魚が手に入らない朝がある。
代わりに何を使うか、その場で考える。
考えているうちに、
料理のことだけではなく、
自分のことまで考えている日がある。
そういう時間は、誰にも見せていなかった。
お客様の前に出るのは、いつも「答え」だけだったから。
一皿の裏には、迷った時間がある。
決まらなかった献立がある。
それでも出す。
出した後に、また考える。
その繰り返しの中に、案外多くのものが残っていく。
残っているのに、今まで書き留めてこなかった。
だから、このnoteを始める。
レシピでも、成功談でもない。
市場で立ち止まったこと。
献立が決まらない夜。
そういう、店の外には出てこない時間を、少しずつ書いていく。
答えを出す場所ではなく、考えている途中を残す場所にしたい。
今日も味の探求は終わらない。
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