「お前にはできない」と言われた日。HSPの私が学んだ“言葉の力”
「お前みたいな心が弱い人にはできないよ。」
それは、公務員時代のある日のことでした。
私が尊敬していた上司から言われた言葉です。
当時の私は、心と体がバラバラの状態。
「もっと強くならなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い込みながら、
毎日をなんとかこなしていました。
上司はそんな私の様子に気づいて、よく声をかけてくれました。
飲み会の帰りに少し立ち話をしたり、仕事の合間に雑談をしたり。
彼自身の過去の失敗談を話してくれたり、
私の弱音を責めることもなく、淡々と聞いてくれる人でした。
そんなある日。
私は何気なく「いつかフリーランスになってみたい」と漏らしました。
上司は一瞬、笑ってこう言いました。
「お前にはできないよ。心が弱い人には、フリーランスは無理だ。」
その瞬間、頭の中が真っ白になったのを覚えています。
私は「そうか、やっぱり私には無理なんだ」と、
その言葉をそのまま信じてしまいました。
今思えば、それはただのひとつの意見。
でも当時の私は、他人の言葉を自分の価値として受け取ってしまっていたのです。
「自分はだめだ」「挑戦しても失敗する」と、
自分にラベルを貼ってしまったあの日から、
私は何も行動しなくなりました。
(ちなみにこの上司は、本当にいい人で、
ざっくばらんで、部下思いの素敵な方でした。
きっと悪気なんて、これっぽっちもなかったと思います。)
でも——。
たった一言で、人の心は止まってしまうことがあるのです。
“励ます言葉”にも、実は選び方がある
時が経ち、私はいま不妊治療をしています。
ある日、クリニックでエコー検査を終え、次の治療日を相談しているとき、
担当の先生がこう言いました。
「いい感じなのでね、がんばりましょう!」
私は一瞬で明るい気持ちになりました。
「え!💛いい感じなんですか!? がんばります!」と笑顔で答えたのを覚えています。
でも、よく考えてみれば、その日出た結果は特別“良い”わけではありませんでした。
数値的にも、目に見える変化も、特に何もなかったのです。
それでも私は、その一言で救われました。
「いい感じですね」と言われた瞬間、
“まだ希望がある”と感じられた。
そして、次の治療に前向きに向かう力がわいてきたのです。
言葉ひとつで、心は動く

上司の「できない」という言葉と、
先生の「いい感じですね」という言葉。
どちらも、現実の状況はあまり変わらない。
でも、言葉の方向性がまったく違うのです。
上司の言葉は、「あなたには難しい」という“制限”のメッセージ。
先生の言葉は、「あなたには希望がある」という“可能性”のメッセージ。
同じように現状を伝えているようで、
受け取る側の心が向く方向はまるで違います。
言葉って、本当に不思議です。
たった数秒の会話で、人の未来の見え方を変えてしまうことがある。
私自身、それを身をもって経験しました。
「どんな言葉を選ぶか」は、誰にでもできる優しさ
あのとき上司が悪かったわけではありません。
むしろ、あの人の言葉があったからこそ、私は今「言葉の力」に敏感になれたと思っています。
私も誰かに言葉をかける立場になったとき、
その人の心の向きを変える“ひとこと”を選べる人でありたい。
たとえ相手が落ち込んでいても、
「それでも大丈夫」「いい感じですよ」と伝えられるような人でいたい。
前向きな言葉をかけるのは、ポジティブシンキングとは違います。
ただ、「希望を見る目線を共有すること」だと思うのです。
あの日の「お前にはできない」を、今ならこう返したい
あの日、上司に言われた「お前にはできないよ」。
当時は胸が痛かったけれど、
いまならこう言えます。
「それでも、やってみたいんです!」
心が弱くてもいい。
怖くても、情けなくても、ゆっくりでも。
やりたいと思ったなら、それは“できる”のサイン。
できるかどうかは、他人が決めることじゃない。
自分が「やってみよう」と思えるかどうかだけなんですよね。
あの言葉を越えて、今ここにいる

「言葉」は、目に見えないけれど、
人の心に深く残ります。
誰かの未来を止めることも、動かすこともできる。
もしも今、あなたのまわりに
落ち込んでいる人がいたら、
どうか“希望のほう”へ向かせる言葉を選んでみてください。
「いい感じですね」
「まだ大丈夫ですよ」
「きっとできると思う」
そんな一言が、誰かの明日を照らすことがあります。
そしてもし、あなた自身が過去に「できない」と言われたことがあるなら、
どうか思い出してみてください。
その言葉は、あなたの可能性を決めつけるものではなく、
ただの“誰かの視点”にすぎません。
あの頃の私のように、
誰かの言葉で止まってしまった日があっても大丈夫。
その瞬間があったからこそ、
私たちは“どんな言葉を信じて生きたいか”を選べるようになるのだと思います。
いま、私はこうしてここにいます。
あの日の言葉を越えて、
自分の言葉で、少しずつ前に進んでいます。
