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リメンバー2010sロック⑥Jake Bugg~ かつての神童は低迷期を脱したか?

ちょっと前の話で恐縮ですが、2024年10月にリリースされたジェイク・バグの最新作『A Modern Day Distruction』はひさびさに溜飲を下げる快作でした。
10代でデビューして世間から神童と持て囃されたものの、その後は長らく迷走していたジェイク。天賦の才を生かしきれない様子が歯痒かったですが、ようやく復活の兆しが見えて安堵しています。



(1)長い迷走のはじまり


2012年に発表したデビュー・アルバム『Jake Bugg』がいきなり全英チャートで初登場1位に輝き、批評的にも商業的にも大成功を収めました。本国では「公営住宅のボブ・ディラン」「新たなワーキングクラス・ヒーロー」と評されて一気に時代の寵児に上り詰めたジェイク。

鉄は熱いうちに打てと言わんばかりに前作から1年弱という短いスパンで2作目『Shangri La』を発表。プロデューサーはなんと名匠リック・ルービン。彼が所有するスタジオで潤沢な予算を投じて制作されたアルバムはよく言えばウェルメイド、悪く言うとオーヴァープロデュースな仕上がり。高品質ではあるんだけど、ちょっとトゥーマッチというか。今振り返ると、これがケチのつき始めだったんだな。


デビュー当初はその才能を評価していたノエル・ギャラガーがジェイクに苦言を呈します。曲作りにプロの共作者を使っていることに「誰かの助けを借りなければ曲を書けないのか」と。
そんな批判を受けたからか、2015年の3作目『On My One』は全曲がジェイク一人で作曲。マッドチェスターみたいなダンス・ロックあり、ラップに挑戦したりR&Bテイストな曲もありと新境地を開拓した意欲作でしたが、メディアからは酷評されます。


2017年の4作目『Hearts That Strain』ではプロデューサーにThe Black Keysのダン・オーバックを迎え、オーセンティックなカントリー・アルバムに挑戦。わざわざナッシュビルまで赴いて録音されたことからわかるように、かなり本気でカントリーに向き合ってます。まぁ悪い出来じゃないですけど、彼にこういうのは求めてないんだけどな・・・。


そして2021年発表の5作目『Saturday Night, Sunday Morning』、個人的にはこれが一番きつかった。複数のプロデューサーを招いてポップな方向へシフト。あえて強めの言葉を使いますけど、毒にも薬にもならないポップス。前作まではまだ良いところが見つけられたけど、これはちょっと・・・。ジェイクは自分の資質をまるでわかってないんじゃないか?はっきり言って失望しました。


(2)『A Modern Day Distruction』は復活の兆しか?


2024年発表の6作目『A Modern Day Distruction』。
18歳の若さで颯爽と音楽シーンに登場し、将来を嘱望された未完の大器も気づけば30歳に。このおよそ10年の歩みは、持ってる才能から考えれば停滞の烙印を押されても致し方ない。
個人的にも彼への期待感はだいぶ薄まってきたころに届いたニュー・アルバム。1曲目"Zombieland"を聴いて「おや?」と思った。いいじゃん、これ。
全体的にロックンロール色が強い内容で、ギターをかき鳴らしながら渋みの効いた声で歌う、実にジェイクらしいスタイルに回帰。長いこと自分に似合う服を探し求めてたけど、着飾らなくても自然体で十分カッコいいことにようやく気付いたらしい。なにより活気に満ちているのがいいですね。欲を言えば初期のようなフォークやブルースの要素がもう少しあればとは思ったものの、それは次作に期待。

若くしてデビューしたからか、イギリスの音楽シーンにおいてはもうベテラン扱いらしい。ヒーローにはなり損ねたかもしれないけど、ジェイク・バグは終わってない。まだまだこれからだよ。

Jake Bugg "Zombieland"

Jake Bugg "All Kinds of People"



(3)名盤をプレイバック:『Jake Bugg』(2012年)


2012年発表の記念すべきデビュー・アルバム。
若き日のボブ・ディランを連想させる不思議な味わいを持った歌声。フォークやブルースが根っこにある音楽性は素朴ながら、醒めた眼差しとリリカルなメロディで綴られる世界は灰色の空に差し込む一筋の光のよう。歌やギターに滲む年齢不相応な肝の据わり方はただ事じゃない。簡素だが力強さを湛えた楽曲、特に乾いたギターのストロークはちょっとThe La'sを思わせるフィーリングもあり。まさにタイムレス・メロディな名盤。

Jake Bugg "Lightning Bolt"

Jake Bugg "Two Fingers"

Jake Bugg "Broken"





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