【語源】日本釈名 (38) 武具(弓・征矢・的・眉尖刀・甲矢乙矢・鞭など)

太刀
「たつ」なり。「物をたちきる」なり。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鋒
「物をきるさき」なり。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
劔
「つる」は「するど」也。やいばの「利」を云。「つ」と「す」と通ず。「き」は「きる」也。「するどに切」也。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
刃
「やきは」也。「は」は「はし」なり。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鞘
「指室」也。「刀をさす室」也。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鐔
『日本紀』神代巻に「つみば」とあり。『順和名抄』にも「つみは」と訓ず。「つみ」は「とめ」也。敵の刀の刃をとむるゆへ也。「とめば」也。一説「つか」と「身」とにはさまるなり。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

欛
刀の「つかね」にて、つかねとる所なれば「つか」と云。槍、長刀などのながきを「はゑ」と云。「つか」とはいはず。俗説に、めいをこむるゆへに「つか」といふ。此説、甚あしゝ。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鎗
「つきやる」意なるべし。日本に上代には「やり」なし。「鑓」の字は日本にて近代の作り字也。
刃帯金
「刀の刃にはくかね」也。脛にはく「脛巾」のごとし。
※ 参考:『古事類苑 第24冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
楯
「へだて」なり。敵の矢をへだつるなり。
弓
「ゆがみ」也。中畧也。つるはすぐなる物也。弓はゆがみたる物也。又、弓を「見たらし」と云。『萬葉』第一に「みとらしのあづさの弓」とよめり。「みとらし」とは「御執」とかけり。「と」と「た」と相通ずる故に「みたらし」と云。「御とらし」とは「とる」と云義。「み」はたうとみていへり。弓は手にとる物なり。「弓とり」などいふ。「し」は助字也。
又、古人の説に、天竺の多羅葉、たけ七尺五寸有。弓のたけも亦、七尺五寸也。故に「たらし」と云。或曰、此説いぶかし。天竺の事、いまだ多く日本につたはらざる時より、すでに「みたらし」の名あり。「剱」を「みはかし」と云がごとし。
※ 「すぐなる」は、直なる。まっすぐという意。
※ 「萬葉第一にみとらしのあづさの弓」 参考:『日本辞林』『冠辞考 下巻』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「たうとみて」は、尊みて。
※ 「多羅葉」は、タラヨウの木のこと。参考:『大日本国語辞典 巻3(波羅樹)(多羅葉)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 参考:『広文庫 第19冊』『趣味大観』『大日本国語辞典 第5巻 修訂(みたらし)(御執)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

■ (■は弓+冂+聿)
弓の本末を云。俗に「うらはず」「もとはず」といへり。「はず」は「はづす」なり。又「はし」也。「弓のはし」なり。「し」と「す」と通ず。
※ 「■」は、「弓末(ゆはず)」。参考:『大日本国語辞典 第5巻 修訂(弓末)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「うらはず、もとはず」は、末弭(末筈)、本弭(本筈)。参考:『日本大辞典(うらはず)』『続群書類従 第23輯ノ下 武家部』(国立国会図書館デジタルコレクション)
弦
「引つる」の意か。又、草の蔓よりおこりし名なるべし。
矢
「やる」也。『釈日本紀』云、弓をいいやる義なり。
※ 「釈日本紀」は、鎌倉時代に編纂された『日本書紀』の注釈書。参考:『釈日本紀』(国立公文書館デジタルアーカイブ)
征矢
「そろひ矢」也。多くそろへて、軍用にそなふる矢なり。上さし、中さしは、四羽にはく。征矢は三羽にはく。
※ 「上さし」「中さし」は、上差の矢、中差の矢。
※ 参考:『日本弓志稿 : 実地参考』『故実叢書 武家名目抄』(国立国会図書館デジタルコレクション)
筈
「はめはつす」の意なるか。「つ」と「す」と通ず。中を略す。又、「は」は「はむる」也。「す」は「つる」也。「つをはむる處」也。「つ」と「す」と通ず。
鞢
「指懸」也。
※ 参考:『古事類苑 兵事部10』(国立国会図書館デジタルコレクション)
的
「まどかなる」也。的はまるき故也。
※ 「まどかなる」は、円なる。

柄
「ゑ」は、長刀、やり、斧、ほこ、などの「ゑ」也。「ゑ」とは「枝」なり。枝の如く長し。又、「ゑ」を「がら」とも云。「がら」も「えだ」の事也。「ゑ」も「がら」も「えだ」より出たることばなり。
鞍
「くら」は「座」也。人の㘴する所を云。馬上に人の㘴する具也。くら、あぶみ、あふり、其餘のそなはりたるを「皆具」と云。
※ 参考:『広文庫 第6冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
兠鍪
「かうふる」なり。
眉尖刀
和俗には「長刀」とかく。「なかなた」也。今も「なたなぎなた」と云物あり。なたの柄、長きなり。そのかたち「なた」の如し。是よりはじまりし名なるべし。
※ 参考:『倭訓栞 2(なぎなた)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
箆
矢につくる竹也。「の」は「なを」也。「すく」なる意。「なを」の返しは「の」也。
ちぎり木
棒の如くなる杖を云。其長さ、わが乳にくらへて切る故に名づく。
※ 「ちぎり木」は、乳切り木。
甲矢乙矢
「矢二すぢ」を「一手」と云。其内はじめにいる矢を「甲矢」と云。「はじめ矢」也。後にいるを「をと矢」と云。「弟矢」也。但、一手とは「的矢」にて云ことなり。
※ 参考:『類聚名物考 第3冊』『高等女子読本参考書 補習科用』『倭訓栞 : 増補語林 中(はやおとや)』『征西将軍懐良親王』(国立国会図書館デジタルコレクション)

鞦
「しりがい」は「しりかけ」なり。「鞅」は「むなかけ」なり。「䪊頭」は「おもかけ」也。俗に是を「三がい」と云。
鞴
「うつ」は「空」也。内むなしきを云。「ほ」は「はこ」也。「はこ」の返しは「ほ」なり。矢を入るむなしき箱也。
顚宀
かぶとの上を「てへん」と云。和語にはあらず。音なり。
鐙
あしふみなり。
靫
「ゆぎ」は「矢笥」也。「矢を入る器」也。「や」と「ゆ」と通じ、「け」と「き」と通ず。又、鞍の床を「ゆぎ」と云。「ゆか木」なり。
※ 参考:『古事記講義 14版』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鞭
「むち」は「うち」也。「馬をうつ」也。「む」と「う」と通ず。鷹には「ふち」を云。たかの「ぶち」は、藤にてつくる故に「ぶち」といへり。
銜
「口輪」なり。「馬の口のわ」なり。「ち」と「つ」と通ず。又「くつはみ」とも云。「くちはめ」也。「口にはむるかね」也。
轡
「たづな」の事也。「つら」は「つらなる」也。「つらなる」はつゞく也。「くつわにつらなれる」なり。

腹帯
「はらおび」也。
鉞
「前さかり」なり。其形、柄より前にさかれり。木を切時も、前さがりになる。一説、其かたち、さきひろきゆへ、前さかんなる也。
※ 参考:『広文庫 第18冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
藥煉
弓の弦に付るやに也。「薬にてねりたる」也。
※ 「藥煉」は、薬練。松脂に油を混ぜて煮て練ったもの。参考:『大日本国語辞典 巻2(くすね)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
障泥
「足張」なり。一説に「足折」也。
釬
「籠手」也。「手をこむる」也。
脛楯
「はぎたて」也。「足のはぎにあつるたて」也。
弣
弓を手ににぎる所を云。「弓つかぬる」也。
峯
刀のみねは、山のみねのごとし。『古今著聞集』に見えたり。
※ 「古今著聞集」は、鎌倉時代に編纂された説話集。参考:『古今著聞集』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 参考:『古事類苑 兵事部8』(国立国会図書館デジタルコレクション)
筆者注 ●は解読できなかった文字、□は欠字を意味しています。
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