【観音霊験記 西国巡礼】第拾一番山城上醍醐寺/聖宝僧正

『観音霊験記 西国巡礼拾一番山城上醍醐寺 聖宝僧正 』

觀音靈驗記 西國順禮 十一番山城上醍醐寺
逆縁も もらさですくふ くわんなれば
順禮堂は たのもしきかな
※ 「くわん」は、願。

聖宝僧正
當山開基 聖宝僧正は、中興諸山の路ををひらき、川々に橋をわたし、又、舟をうかべて往来の助けとすること數多し。
※ 「聖宝僧正」は、平安時代初期の真言宗の僧、修験道の中興と称されます。

むかし、役小角、熊野より大峯に入り、吉野に出る山伏の峯入をはじめしが、其後大蛇出て人を悩すがゆゑ、峯入すること叶はざりしに、聖宝鉞を以てかの大蛇を退治して、大峯より熊野へ出ける。これを「逆の峯入」といふ。

然るに、聖宝、蛇毒に觸て悪瘡を生じ、苦痛たへがたければ、準胝陀羅尼を信じければ、大悲の灵夢に「宇治郡笠取山に灵水あり、是は三世の諸佛影向ありて、醍醐經を加持すれば、急ぎゆきて浴せよ」と告給へば、聖宝よろこびて、教のごとくゆあみせしに、立處に惡瘡癒たり。
これによつて、此處に御寺を建立せり。醍醐といふは、その霊水をかたどりたる號と知るべし。
※ 「準胝陀羅尼」は、准胝観音のこと。
※ 「灵夢」は、霊夢。
※ 「灵水」は、霊水。
※ 「三世の諸佛」は、仏語。過去・現在・未来の三世それぞれに一千ずつ出現する仏のこと。
※ 「影向」は、神仏が仮の姿をとって現れること。えいこう、ようごう。
※ 「ゆあみ」は、湯浴み。
※ 「號」は、号。
※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)
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