『開化の笑顔』川柳(5)〽遊女やの神棚猫におまんなり


〽 三ヶ日 身代かぎり めだつなり
〽 百貫のかた あみ杓子 いかきなり
※ 「身代かぎり」は、身代をつぶすこと。破産。
※ 「百貫のかたあみ杓子」は、「百貫のかたに笠一蓋(または、千貫のかたに編笠一蓋)」という諺をもじっています。
※ 「いかき」は、笊籬。竹で編んだかご、ざるのこと。
ともに、年の暮れの支払いを詠んだ川柳になっています。

〽 忌中じやと 洒落とるかぎり 出したやつ
〽 遊女やのつけたて 饅頭くひも載せ
※ 「つけたて」は、帳面にしるしをつけること。
前者は、戸口に忌中の札を貼って取立人が入らないようにしているという洒落、後者は、遊女屋が売掛帳簿に饅頭の一個まで細かく記していることを揶揄していると思われます。

〽 あまくちな 娘 饅頭 くひ拝み
〽 おまん子といふので 茶やにまつるなり
〽 遊女やの 神棚 猫に おまんなり
※ 「猫におまんなり」は、「猫に小判」をもじっていると思われます。
※ 「おまん」は、饅頭のこと。

〽 両親が あまいで 娘 おまんわり
〽 饅頭を わつた娘を 教師誉め
饅頭に関する一連の川柳が何を意味するのか読み解けませんが、「饅頭」には売春女性の意味もあったようです。(江戸時代に船で鬻ぐ女性を「船饅頭」と呼んだそうです)
また「猫」については、江戸時代に隠し売女が商売した場所に、両国回向院前の「金猫」「銀猫」という女屋があったそうで、店の前には土で作った大きな猫を飾られていました。
参考:『小学辞典(破産)』『中等作文辞典(倒産)』『俚諺大辞典(千貫に笠一蓋)』『有朋堂文庫 〔第55〕(百貫のかたに笠一蓋)』『通常物図解便覧 2編(網杓子)』『羇旅漫録:壬戌 中(京市中の喪)』『日本風俗史 下』『日本風俗史 : 図入 下』『日本の裁縫と女礼 下(お饅頭)』『遊女の時代色:趣味史談(船饅頭)』『酌子定妓芸者の心得 初編(船饅頭)』『字彙大全(舩饅頭)』『和漢雅俗いろは辞典(船饅頭)』『温古の栞 6篇−10篇(船饅頭)』『神戸開港三十年史 下(船饅頭)』『落語家(船饅頭)』『魔窟の東京(私窩子)』『古事類苑 第39冊(かくし賣女)』『名家漫筆集(隠し売女)』『俚言集覧 上巻(お千代舟)(船饅頭)』『盲文画話:水野廬朝筆風俗絵本(舟まんぢう)』『実事譚 1冊(金猫銀猫)』『日本大辞書 第5巻(きんねこ)』『ことばの泉:日本大辞典(金猫)』『社会文学辞典(金猫)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
● は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
