【観音霊験記 西国巡礼】第二十二番摂津国総持寺/山陰中納言

『観音霊験記 西国巡礼二十二番摂津国総持寺 山陰中納言』

觀音靈驗記 西國順禮二十二番 摂津國摠持寺
おしなべて たかきいやしき そうぢじの
ほとけのちかひ たのまぬはなし

山蔭中納言
中納言、六歳の時、父高房公と共に、西国下向の途、淀の渡り穂積の橋にて、大なる龜をとりて殺さんとするものあり。

高房公、常に観音を信じて、慈悲ふかくましませば、これを買取て放ち玉ひしに、その翌朝、乳母、御子を海中へ落しけるに、順風烈しく、終に見失ひければ、高房公、悲みのあまり、遥に長谷寺の方を拜み玉ひて、我子、再び出なば、千手の尊像を彫み、永く信仰すべしと祈り給へば、

ふしぎや、昨日放ちし大亀、御子を甲に乗て助け来れば、薩埵の利益を深く感悦し玉ひて、急ぎ尊像を造らんとなされしに、はからずも薨玉ひ、御子の中納言、御父の志願をついて、唐より栴檀香の灵木を取よせられ、変化の童子に彫し玉ふ尊像、是なれば、灵驗殊にあらたなり。
※ 「栴檀香」 参考:『大日本国語辞典 巻3(栴檀)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「灵木」は、霊木。
※ 参考 「亀が山陰中納言の恩に報いた話」『今昔物語』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)
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