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【語源】日本釈名 (20) 人事(仁・智・信・真字假字(まなかな)・拝など)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

イツカシミ

「いつくしみ」は「あつくせしむる」也。「あ」と「い」と通じ、「む」と「み」と通ず。「いつくしみ」は、心のあつきなり。「仁」の字は、又「ひと」ゝ訓ず。「仁」は「人の徳」也。仁なければ人とは云がたし。(かほよきを「うつくし」と云も、人のうつくしむゆへ也。「い」と「う」と通ず)

※ 「かほよき」は、かおき。

ヨロシ

「よし」也。「ろ」は、やすめ字なり。萬事のすへよきやうにする心の徳なり。

イヤ

「いやまふ」也。うやまふ意。「い」と「う」と通ず。人をうやまふ徳なり。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

サトル シル

「さきとくる」也。「さき」は「先」也。「とくる」は「解」也。愚者は、あとの事はしるせども、さきの事をしらず。智慧ある人は、一をきいて二をしり、猶すぐれたる人は、一をきいて十をしる人の一言をきゝて、其 善悪をしる。先見センケンの明とて、知者はさきの事をはやくしる。是「さきとくる」也。又、「しる」とは「しるき」也。明らかなるを「道しるき」と云も、道の明らかなる也。「しるき」とは「しろき」也。「白き」は「あきらか」也。「くろき」は「くらき」也。

マコト

「あまこと」也。上を略せり。五味の内「甘」はモトの味也。すきも、にがきも、からきも、しはゝきゆきも、其内にあまき味をおびざれば,
和らかにして食せられず。人の心も誠なれば、他のよき事ありても、本なくして不立、食物に甘味なきが如し。おやにつかへ、君につかへてつとむるも、真実ならざれば、忠孝にあらず。五味に甘き味あるは、五行に土あるが如し。木火金水も土なければ生ぜずことは言也、事也。言にも事にも、まことあるは皆心よりいづ。マコトは、五ジヤウモトヰ也。信なければ、仁義礼智、皆いつはりにて、まさしき仁義礼智にあらず。五味、甘からざれば、和せずしてくらはれざるがごとし。

※ 「すき」は、き。
※ 「しはゝきゆき」は、五味のひとつ しおからさを指している言葉と思われますが、誤読しているかもしれません。
※ 「不立」は、不 立。立たず。
※ 参考:『旧事紀訓解 下卷(まこと)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

眞字假字マナカナ

「な」の字は「文字」也。文字のよみこゑは、其字の名也。「人」の字は「ひと」ゝよむが、人の字の名なり。よろづの字、皆しかり。「真字マナ」とは、もろこしより来るまことの本字也。故に「まな」と云。假名カナは本字にあらず。かりそめに日本にて作りたる字なれば「かりな」と云。「かんな」とも云也。「かりな」と云べきを略して「かな」と云。「かな」の「か」は音にはあらず。よみ也。『日本紀』『萬葉』のかなのごとく真字にかきたるをば「まながな」と云。

※ 「もろこし」は、唐土。

ヲガム

「おがむ」とは「身を折かゞむる」也。是『釈日本紀』の説也。「拝む」とは「こしをかゞめ手をさぐる」を云。「拜」の字、両手の下に「下」の字をかく。両手をさぐるを云よし、からの書に見えたり。「拜」かやうにかく。「拜」の字の下の「丁」は、いにしへの「下」の字也。もろこしの「拝」は「九拝」とて九品あり。日本の「拝」はかしはでとて、手をうつ也。もろこしにてこれを「振動シンドウ拝」と云。日本にて是を用る由、周禮のシヨに見えたり。日本にて今も神を拝するに用ゆ。天竺のハイ合掌ガツシヤウなり。両手を合する也。から、やまとの拝にはあらず。仏者、是を用ゆ。からの九拜に合掌はなし。日本、唐、天竺の拝、皆 和語には「おがむ」と云。

※ 「周禮」は、周礼しゅうらい。儒教教典のひとつ。
※ 「から」は、から

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

「め」とは「草木のめだち」の意。生意也。「くみ」は「ふくみ」也。上略也。物をあはれむ心を内にふくめるを「めぐみ」と云。生意をふくむ意也。

※ 「生意」は、 いきいきとした様子、生気のこと。

ツゝシミ

或説云「つゝ」は「ツゝマヤカ」也。「しむ」は「検束けんそく」の意。放逸ならざるを云。愚謂、「つゝしむ」は「つゝむ」也。「つゝむ」とは、おそれてみだりに外にもらさざる也。たとえば、物をつゝみて外にいださゞるがごとし。古書に「つゝしむ」を「つゝむ」とかきし所多し。収斂ヲサメて外に教ぜざる也。「し」はうつほ字也。一説「つゝ」は「土」也。土に水のしむ如く、かたまりて心のちらざるを云。「つちしむ」の意なり。此説うがてり。和意をしらずして附會ふくはいせる也。用ゆべからず。

※ 「うつほ字」は、空字うつおじ
※ 「附會」は、こじつけること。付会ふかい

ノリ

「のり」は「ナリ」也。成就してとゝのひたるてほん也。又、ノルなり。

イキヲヒ

『日本紀』に「いき」を「ひ」と訓ず。「いきヲヒ」也。「おひ」は「おふる」なり。是亦「ヲヒ」也。イケる人にうまれ付たる道理なれば「いきおひ」と訓ず。「勢」の字も「いきをひ」と訓ず。「いき」は「イキ」也。「おひ」は「ヲヒ」也。「徳」とはこゝろかはれり。是、和語に両義をカヌる事多き類也。



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