見出し画像

【語源】日本釈名 (28) 魚類(鯉・鮒・鯛・海鰌・鮧など)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

コイ

「こい」は「こえ」也。其身こえたり。又、其味、諸魚にこえたり。「い」と「え」と通ず。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

フナ

煮て食するに、骨やはらかにして、なきがごとし。「骨なし」也。「ほ」と「ふ」と通ず。「ね」を略す。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

スゞキ

其身白くして、すゝぎたるやうにきよげなる魚なり。其小なるを「松江セウガウ」と云。「せいご」なり。もろこしの松江ズンガウのすゞきは、日本の鱸より小なりと云。是「せいご」なるべし。

※ 「きよげなる」は、きよげなる。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

タイ

「たいら魚」也。其形たいら也。故に、『延㐂式』に「平魚」とかけり。又、俗語に「ひら」と云。或曰、掉尾タヒ道味タヒ魚、朝鮮の名也。

※ 「延㐂式」は、延喜式。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

大口魚タラ

「まだら」也。其皮、少まだら也。「ま」の字を略す。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

うろこ有ておよぐ故、「うろこ」の「う」と「およぐ」の「を」ゝとれり。或曰、うかびをよぐ故に「うを」と云。一説に多しと云意。魚は海河に多くして、つねにとれどもつきず。「おほ」と「うを」と通音なり。其説、皆通ぜり。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

カツヲ

「かつを」は「かた魚」也。ほしてかたくなるゆへなり。「た」と「つ」と通ず。「う」を略す。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

カレイ

「かたわれ魚」也。此魚、一方は色かはりて白くして、目も一方につけり。かたわれのごとし。「たわ」を略せり。「い」は「いを」也。「うを」「いを」通ず。「を」の字を略す。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

鰻鱺ウナギ

『萬葉集』大ドモヤカ持の哥に「むなぎ」とよめり。『順和名抄』も同。「む」と「う」と音通ずる故に「うなぎ」とも云。「むなぎ」はムナギ也。其形まるく長くして家の棟に似たり。

※ 「哥」は、歌。
※ 「大伴家持の哥にむなぎとよめり」は、次の二首。
   石麻呂いしまろに われ物申す 夏痩なつやせ
     よしといふ物ぞ むなぎ取り
   すも 生けらばあらむを はたやはた
     むなぎると 川に流るな
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

海鰻ハモ

唐音なり。和語にあらず。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

海鰮イハシ

「いやし」也。魚のイヤシき意也。或曰、「よはし」也。とりてはやく死るゆへ也。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

海鰌クジラ

黒白クロシラ」也。其皮黒く、其肉白し。『順和名抄』には「くぢら」とあり。「し」と「ち」と通ず。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

ナマヅ

「なま」は「なめらか」也。「め」と「ま」と通ず。「つ」はやすめ字なり。此魚、なめらかにして、とらへがたし。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

スシ

味すし。

タツ

「たつ」は立也。鳥獣虫魚は皆横にゆく。此物、天にのぼれば、そらに身をたつる也。ミツチ水龍ミツタツ也。「た」と「ち」と通ず。

※ 「ミツチ」は、龍に似た想像上の動物。みづち。
※ 参考:『広文庫 第20冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

トヒウヲ

海中にて、其ひれをひろげて、遠くとぶもの也。

サバ

「さは」は「小歯サバ」也。「さ」はさゝやかの意、小也。此魚こと魚にかはりて歯小なり。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

杜父魚カジカ

河𢈘カジカなり。山河にある魚也。夜なきて、其声たかし。故に名づく。俗に「うたうたひ」とも云ふ。

※ 「河𢈘カジカ」は、河鹿。𢈘は鹿の異体字。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

コノシロ

もとは、此魚の名を「つなし」と云。此魚をやけば、其のくさき事、人をやくに似たり。

むかし、或人、後妻にまよひざんを信じて、其前妻のうめる子を、其家のやつこにに命じてころさしむ。やつこ、其罪なき事をしりて、ひそかに其子をかくしつかはし、其子のかはりに「つなし」を多くやきて、子をころして火葬したるよしを、其父につげゝる。それよりして、此魚の名を「子のシロ」とぞ云ける。子のかはり也。

古哥にも、
  東路のむろの 八嶋にたつけふり 
    たがこのよにか つなしやくらん
とよめり。

※ 「たがこのよにかつなしやくらん」は、誰がこの(しろ)にかつなし焼くらん。この言い回しは文献によって、
※ 参考:『古事類苑 第49冊』『和漢三才図会 巻第21−52』『片言 : 付補遺 物類称呼 浪花聞書 丹波通辞』『魚介と芸術』(国立国会図書館デジタルコレクション)

鰷魚アユ

あゆる也。「あゆる」とは「おつる」也。ふるきことば也。春はのぼり、秋は川上より下へおつるもの也。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

馬鮫魚サハラ

「さ」は「」なり。「せばき」也。「はら」は「腹」也。此魚、長大なれども、腹せばく小也。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

章魚タコ

「た」は「手」也。「こ」は「こゝら」也。おほきを云。手多きもの也。又曰、「こ」は「か」と通ず。手ながなり。

魚師ブリ

あぶらおほき魚なり。「あぶら」の上を略す。「ら」と「り」と通ず。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本釈名 3巻 [2]

鱖魚サケ

さけは「サケ」なり。其ヘン々にさけやすしこと、魚にかはれり。「はらゝ子」は「はらにある子」なり。「ある」の「る」と「ら」と通ず。

※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)



筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖