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【観音霊験記 西国巡礼】第九番和州奈良南円堂/閑院左大臣冬嗣公

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
観音霊験記 西国巡礼第九番和州奈良南円堂 閑院左大臣冬嗣公

觀音靈驗記くわんおんれいげんき 西國さいこく順禮じゆんれい だい九番和刕わしう奈良なら南圓堂なんえんだう
  はるは 南円堂なんえんだうに かゞやきて
    三笠みかさやまに はれ薄雲うすぐも

※ 「和刕わしう」は、和州。大和国のこと。

閑院かんゐんじん 冬嗣ふゆつぐこう
大織冠たいしよくわん五代のそん長岡ながおか右大臣うだいじんふぢ氏の子孫しそん繫昌はんじやう弘法こうぼう大師に御尋おんたづねありければ、真言しんごん秘密ひみつざうのうち、不空ふくう羂索けんさくぞうえらみまゐらす。しかところ御堂みだうたゝざるうち、ろうたまひ、その御子おんこ冬嗣ふゆつぐこう先功せんこうをつぎ玉ひて、弘仁こうにん四年よねんその一千いつせんたい小観音しやうくわんおんぞう地中ちちうおさめ玉ふときに、春日かすが大明神だいみやうじん匹夫やとひびとうちまじはり玉ひて、土石どせきはこび玉ひ、藤氏ふぢうぢ繁昌はんじやうしゆくし玉ふ。

※ 「冬嗣ふゆつぐこう」は、藤原北家の藤原冬嗣ふじわらのふつゆぐ。号は、閑院かんいん大臣だいじん
※ 「大織冠たいしよくわん」は、大化の改新後に定められた冠位制における最上位の冠位。ここでは藤原鎌足ふじわらのかまたりのこと。
※ 「長岡右大臣」は、藤原冬嗣の父、藤原北家の藤原内麻呂ふじわらのうちまろ(別名、後長岡大臣)のこと。
※ 「不空ふくう羂索けんさく」は、不空ふくう羂索けんさく観世音菩薩(不空羂索観音)のこと。
※ 「ろうたまひ」は、亡くなられること。

御神歌ごしんか
  神陀落ふだらくの みなみきしに だうたて
     いまさかえん きた藤波ふじなみ

※ 「神陀落ふだらく」は、補陀洛ふだらく、補陀落。観音菩薩が降臨する霊場のこと。


※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)



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