【観音霊験記 西国巡礼】第二十番山城善峯寺/源算上人

『観音霊験記 西国巡礼二十番山城善峯寺 源算上人』

觀音靈驗記 西國順禮 二十番山城善峯寺
野をもすぎ 山路にむかふ 雨のそら
よしみねよりも はるゝ夕立

開山 源筭上人
上人は因州の人にて、懐胎のうち、母を苦しめければ、不詳の子なりとて、山中に捨さしむ。しかれども、鳥獸もこれを害せず。三日、乳を呑ざれども死せず。
※ 「源筭上人」は、源算上人。
※ 「因州」は、因幡国。

村人、拾ひあげて養育しに、十五才の時、叡山に登りて、剃髪せしが、母の死を聞て、當山に来り。その練行言語に尽がたく、聊、名利を好まず。
唯、觀音を信ずるのみなれば、此山の主、阿知坂神、雇夫を現し、又、數万の猪鹿来つて、岩窟を碎き、凸凹を平地とせし。竒異ありさま、天子へ聞へければ、遂に佛閣を御建立ありけり。
※ 「凸」の読み「なかだか」は、中高。
※ 「凹」の読み「なかくぼ」は、中窪。


上人、山にすむこと七十四年、承徳三年三月、定印を結びて、百十七才にて寂すれども、更に其容躰変ぜざれば、諸人いよ/\尊び拜せり。體の腐せざる者は、越後の弘智法印のごとくにして、めでたき聖なること疑ふべからず。
※ 「定印」は、仏語。印を結んで定に入ること。参考:『大日本国語辞典 巻3(定印)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)
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