【職人図鑑】彩画職人部類(7)鬠(もとゆい)

鬠 もとゆひ
君こすは ねやへもいらし 小むらさき
我もとゆひに 霜は置とも
と詠しは、古今集にありてふるき言の葉ながら、樛元結と賞するものは、寛文の比より起る。
※ 「君こす…」は、『古今和歌集』巻十四に収録されています。
※ 「樛元結」は、しごき元結のこと。扱元結。

紙捻を長く縷て水にひたし、車にて縷をかけて、水をしごく。ゆへに、樛元結なりとぞ。又、文七もとゆひとは、紙の名なりといゝ傳ふ。詳ならず。
※ 「文七」は、元結などにする艶のある白い紙のこと。
※ 「詳ならず」は、つまびらかならず。

元結について
元結
元結は、昔、皆 髪をひねりて髪の元を結により「元結」とは名けしなり。享保以前までは自分/\に紙を縷て、おのれが髪を結ひたるなり。又、若衆、女の長く用ゆるは「平元結」にて、紙を一寸ばかりにたちて巻そへしなり。中古公卿の髪を結ふには、小指の如き太きを作り、金、或は銀色に塗り、花卉鳥獣などの繪を書きて「繪元結」を用ひたり。又、平人は紙の外、藁にて結びたる者多し。
「樛元結」は、寛文のころより起る。紙捻をながく縷りて水にひたし、車にて縷りをかけて水を樛くゆゑに「しごき元結」なり。又、「文七元結」といふあり。是れは、紙の名なり。至て白く艶ある紙なれば、此紙にて製するを上品とす。後ち、越後の國にて糊粉を紙に塗りて元結をつくる。是れ今日見る所の元結の起源なり。又、漆をかけて「黒元結」を作りだしたり。「江戸元結」は、近世まで江戸菊一にて盛んに發賣せり。即ち今の元結は、越後の國より發明したるものなり。一書に越前とあるは誤なり。「江戸元結」は「越後元結」を真似して短し。「越後元結」は長し。

元結の名、古今同じ。但し、むかしはうすやうの紙をたゝみてむすぶ。後世は絵元結なり。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『和漢三才図会 巻之10』
※ 参考:『類聚近世風俗志:原名守貞漫稿 上』『嬉遊笑覧 上』『長崎地名考 附録』『言海:日本辞書 第1-4冊(絵元結)(入元結)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
