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【絵本野山草】(31) 水仙花(すいせんくは)📖『絵本野山草』読了

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『畫本野山草 [5]

水仙花すいせんくは

葉、がまたり。花のかたち「金盞きんさん銀臺ぎんだい」にたとふ。花びら六よう、うてなは三かくにしてながし。「くきかうほね」にたり。又、花はすえ薄絹うすきぬふくろつゝみ、袋ほどけて花ひらく。花の色、白ふしてすこしなしめ也。中の一盞いつさん三玉みつのたま有。一盞三ぎよくともに、うこん也。

八月より翌年よくねんの二三月有迄花有。秋冬の水仙は、花葉の中段ちうだんに有。またはるの水仙花は、葉のたけにくらぶ。惣体さうたい、草花に是をじゆんじて、夏秋の草花たけ長し。冬春の草花は、たけみじかし。四季しきの草花、年中たゆる事なし。しかれども、秋冬の草花は、冬気をしのぎかねて、春をまたところへ水仙薄絹うすぎぬのふくろより「金盞銀臺」を出し、是春を待ず。春の草花きたるに、一盞を以て引合ひきあはするえんをむすびつなぐ花なり。

※ 「金盞きんさん銀臺ぎんだい」は、一重の水仙のこと。金盞銀台。「金盞きんさん」は黄金のさかずき、「銀台ぎんだい」は仙人のいる所、銀で飾った美しい高楼、また、うてな。
※ 「六よう」は、六よう

やう誠斎せいさい いはくに水仙を以て「金盞銀臺」となす。けだし単葉ひとえのもの中に一酒盞いつしゆさんあり。深黄しんくはうにして金色きんしき也。子葉のものは、すなはち  まことの水仙也。

山谷さんこく いはく、一名を「仙骨せんこつ」とす。水仙花、凡花ぼんくはにあらず。仙人乃骨象こつしやうある也。ゆへに、仙骨といふ。

仕立花シタテハナゴフン中筋ナカスヂオナジ。中筋ノリヤウワキ白緑ビヤクロクニテ、クマドリツケニヲイ、皿ニヲイノタマゴフン。ソコ白緑ビヤクロクニテクマドル。又、惣花ソウハナヘキラニゴフンヲクハヘテカケル中玉ナカタマサラトモシワウヲカケル。ウテナトジクトハバン六セウ、ヌルクサノシルクマトリシワウヲカケル。ハナヲツゝムフクロゴフンヌリウスワウドヲカケ朱墨シユスミクマキラカケスヂカキ朱墨シユズミノ子マキゴフンスリキラヲカケルクサノシルニテスヂカク。

※ 「やう誠斎せいさい」は、南宋の学者・詩人。南宋四大家のひとり。楊万里ようばんり。号は誠斎。
※ 「山谷さんこく」は、北宋の政治家・詩人。宋の四大家のひとり。黄庭堅。号は山谷道人。
※ 参考:『本草通串 巻52-55(水仙)』『花道古書集成 第一期第三卷 再版』(国立国会図書館デジタルコレクション)



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