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【観音霊験記 西国巡礼】第十三番江州石山寺/良弁僧正

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
観音霊験記 西国巡礼十三番江州石山寺 良弁僧正

觀音靈驗記くわんおんれいげんき 西國さいこく順禮じゆんれい 十三番江州ごうしう石山寺いしやまでら
  のちの世を ねがふこゝろは かろくとも
     ほとけのちかひ おもき石山いしやま

良辨りやうべん僧正そうじやう
聖武しやうむ天皇てんわう勅命ちよくめいをもつて、良辨りやうべん金峯山よしのやま黄金こがねらんことを藏王ざわう権現ごんげん持念ぢねんしければ、藏王ざわう灵夢れいむつげ玉ふには、
このやま黄金かねは、弥勒みろく出世しゆつせ用弁ようべんなれば、ほしいまゝとることをゆるされず、ほかおしゆるところあり、江州ごうしう㔟田せたごほりひとツのやまあり、これ如意輪觀音によいりんくわんおん灵地れいちなれば、こゝにおもむきて祈念きねんすべし」と。

※ 「良辨りやうべん僧正そうじやう」は、奈良時代の華厳宗の僧。東大寺の初代別当。
※ 「灵夢れいむ」は、霊夢。
※ 「灵地れいち」は、霊地。

良弁りやうべんおしへごと㔟田せたおもむきところ、石上におきなありてつりたるるにむかひて「何人なにびとなるや」ときゝければ、「われはこのやまあるじ比良ひらかみなり、如何いかにもこゝ觀音くわんおんなり」とおしへうせぬ。

良弁りやうべん喜悦よろこびて、そのほとりいほりむすびて、如意輪によいりん尊像そんぞうつくりしに、ほどなく奥州おうしうより黄金こがねみつぎしは、これふしぎの灵驗れいげん也。このとき大伴おほとも家持やかもちしゆくしてよめり。

〽 すべらぎの 御代みよさかえんと あづまなる
    陸奥みちのくやまに こがね花咲はなさく

※ 「奥州おうしうより黄金こがねみつぎし」は、東大寺大仏の鍍金のための金が陸奥国から産出し、陸奥国守が聖武天皇に献上したことを指しています。
※ 「灵驗れいげん」は、霊験。
※ 「すべらぎ」は、天皇のこと。


※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)



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