【女大学宝箱】(6)木綿(もめん)・絹(きぬ)

木綿のこと、もろこしには、梁の代よりはじまれり。わが朝は、桓武天皇延暦十八年いづくともなく、小舟にのりて一人三河國に流着 唐人見て、崑崙國の人なるべしといへり。そのもてる物の中に実あり。これをうへさしむ。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『女大学宝箱』
そのゝち、中世よりその種うせてなし。文禄子中に種をつたへて、あまねくなりたり。わた入をいま「布子」といふも、むかしは布に真綿を入てきたる ● なり。木綿、今は、摂津、近江、河内、丹波、三河、其外、国ゝよりいづる也。寒国には綿出来あしきなり。
※ 「崑崙國」は、崑崙山脈の辺りにあった国と思われます。下の地図で、チベット山脈の北に崑崙山脈が位置するのが見えます。参考:『大日本史 一』『広文庫 第8冊(崑崙)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

『地誌略 巻1亜細亜洲総説 日本総説畿内五国』
※ 「文禄子中」の「子中」は、誤読しているかもしれません。

きぬいとをこしらゆる器多し。蟠車といふは、まいば也。緯車は、いとのよこを紡ものをいふ。小紡車は、糸をつむぐ車也。絡車は、いとをわくにうつすものをいふなり。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『女大学宝箱』
※ 「蟠車」は、糸を巻く道具、舞羽のこと。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
『和漢三才図会 上之巻』

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
『訓蒙図彙 20巻 [8]』
※ 「緯車」は、いとよりくるま、または、いとくりくるま のことと思われます。参考:『いろは引数引節用集』『懐中節用無尽蔵 増補』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
『和漢三才図会 上之巻』
※ 「わく」は、糸を巻きつける道具のこと。篗。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
『和漢三才図会 上之巻』
※ 「絡車」は、糸を巻く車のこと。参考:『熟語集成漢和大辞典』『大字典』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『女大学宝箱』

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『女大学宝箱』
いとをとること、わが朝には、京羽二重を第一とす。加賀、奥州よりいづるもの多けれども、みやこにしかず。其中に、諸練、無垢、練の品あり。よきを、ゑりいと、羽二重といふ。美白の両品なり。もと洛の白雲村にて織いだす。いまは所々におほし。羽二重、熨斗目片色、綾嶋、亀屋嶋、みな西陣より出る也。
※ 「諸練」は、経糸・緯糸ともにねり糸で織った布のこと。精好織のひとつ。
参考:『大日本国語辞典 第5巻 修訂(もろねり)』『大増訂 日本大辞典 ことはのいつみ(せいがうおり)』『読書作文辞典(せいかうおり)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※「ゑりいと」は、撰糸。
参考:『万民宝鑑:日用有益』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「白雲村」にてついては、次の資料を参考にしてみてください。『日本工業史』『日本蚕業史』『西陣織物沿革提要(後亀山天皇)(正親町天皇)』『日本社会事彙 上』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「熨斗目片色」は、西陣で織られる布のひとつと思われます。
参考:『大日本織物誌』『内国税彙纂 第24号』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「亀屋嶋」は、織物のひとつ。井原西鶴の『好色二代男』に「いつの比か時花し亀屋嶋の着物に、はしつぎのある帯 右の脇に結び」という記述があります。参考:『西鶴語彙考証 第1』(国立国会図書館デジタルコレクション)

『諸艶大鑑 8巻 [1]』
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