【語源】日本釈名 (26) 獣類(牛・馬・羊・犬・猫・兎・狼・狐など)

獸
毛生物也。「な」と「た」と通ず。「くだ物」は「木になるもの」也。「けだも」のは「毛なるもの」也。「た」の字の意同じ。
牛
「うるさし」也。うらめしき意。其形、おそろしくうらめしきもの也。「うらめしき」を「うし」と云。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
馬
「ま」といはんとて「む」の字を付たり。「む」は「ま」の發語也。「ま」は「馬」の字の音也。音を以て訓とせし例おほし。
※ 「發語」は、発語。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
羊
ひつじの時は、日の天にのぼりて、西へさがるつじ也。日本にもとより羊なし。後代にもろこしより渡りし時、十二支の未の時の意を以て訓とせり。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
犬
「いぬる」也。主人になつきて、はなれぬ物也。故に、他所に引よせてよき食を飼へども、もとの主人の所へいぬる也。久しくつなぎおけば、其主人になつきてかへらず。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
猫
「ね」は「ねずみ」也。「こ」は「このむ」也。ねずみをこのむけもの也。一説、猫はよくねるもの也。ねるをこのむ意か。『順和名抄』に「ねこま」と訓ず。「ま」は「む」と通ず。「このむ」の「む」の字也。「の」を畧せり。
又、猫を「かな」と云。昔、相模國金沢称名寺に文庫ありて、書を多くおさむ。からより書おほく来る時、ねずみをふせがんために、からよりよき猫をのせ来る。其すぢを「金沢猫」と云を略して、「かな」と名づけたり。
※ 「から」は、唐。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』『広文庫 第15冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

野猪
「いかりしゝ」也。「しゝ」とは肉也。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鹿
「しろくして臭ある」也。「かのしゝ」とは「かあしき肉」也。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
羚羊
「にく」は「褥」也。しとねの事を云。羚羊の皮、毛ふかくして褥とするによし。故に「羚羊」を「にく」と云。又、「かもしゝ」と云。「かも」は「氈」の字「けむしろ」也。むかし、「毛むしろ」を「かも」と云。『順和名』に見えたり。にくの皮をけむしろにする。故に「かもしゝ」と云。
※ 「羚羊」は、カモシカの古名。かもしし。
※ 「しとね」は、座るときや寝るときに敷くもののこと。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
兎
「うすけ」也。其毛うすし。「すげ」と「さぎ」と通ず。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
狼
「大咬」也。口ひろくして大にかむ也。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
狐
『水鏡』に曰、欽明天皇の御時、狐の人の妻となりて子をうみ、家の犬にほえられてまことの形をあらはす。其夫、其子の母なるゆへに「時々きつゝねよ」といゝし故、きたりねしかば、「きつね」と云。
※ 「きつゝねよ」は、来つつ寝よ。
※ 「きたりねしかば」は、来たり寝しかば。
※ 参考:『言語哲学』(国立国会図書館デジタルコレクション)

獺
河にありておそろしき物なりと云意。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鼠
「ぬすみ」也。「ぬ」と「ね」と相通ず。ぬすみするけもの也。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鼴鼠
田のうねくろをもちあぐる意。
※ 「ウゴロモチ」は、モグラの別名。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鼬
「魚絶」なり。このみて魚をとる。小池にいたち入れば、魚たゆるゆへに名づけたり。一説、いたちは、口よりいきをはけば、火のごとし。火をはけば、身を立て行くゆへに「いたち」と云。「い」は「火」也。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
虎
「とら」は「とらゆる」也。人をとらゆる獣也。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
象
「きばさし出る」也。牙の長くして、さし出たるけもの也。
※ 「キザ」は、象のこと。
※ 参考:『古事類苑 第49冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
皮
「ほかはる」也。上下を略す。身の外をはる也。
毛
「気」なり。気のおひ出る也。「気」は「け」なり。一説、けたものゝきる物也。「き」と「け」と通ず。
蹄
「ふみ爪」也。地をふむつめなり。「ふみ」のかへしは「ひ」也。
尾
「おはり」也。背のおはりにあり。
膠
けたものゝ皮をにてつくるゆへなり。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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