【観音霊験記 秩父巡礼】第二拾四番白山光智山法泉寺/恋ケ窪の遊女

『観音霊験記 秩父巡礼二拾四番白山光智山法泉寺 恋ケ窪の遊女』

観音霊験記 秩父順禮 二拾四番 白山光智山法泉寺
天てらす 神のはゝその 色かえて
なほもふりぬる 雪のしら山
奉額
花と実の あひだを百合の しあむかな
※ 「神のはゝそ」は、神の母祖。参考:『秩父案内記』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「しあむかな」は、誤読しているかもしれません。

戀ケ窪の遊女
當山は、越の泰澄、毘盧遮那佛の勅によつて、加賀の白山を此所に勧請せり。本尊は、天照太神の御作といひ傳ふるを誹るものなれども、毘盧遮那は是日輪にましませば、拠なきにもあらず。
※「越の泰澄」は、奈良時代の僧。
「一四歳のとき越知山に登り、十一面観音に礼拝・懺悔を行なう。三六歳で白山において妙理大菩薩を感得、宮中に召されて霊験をあらわし、大和尚の位を受けた。のち越知山に帰り、木塔百万基を造って人々に与えたという。越の大徳と呼ばれる」(出典:コトバンク「泰澄」)

往昔、恋が窪の遊女、口中の病になやみて、種々の良薬を用ひたれどもさらに験なかりしに、秩父の僧とて日々修行に来りしに、よく是に手の内を施しければ、一本の楊枝をあたへて、「白山の観音を信じて此楊枝を用ひなば、口中の煩ひたちまち癒べし」と教えしかば、歓びて客人の送りむかひにも忘るゝことなく、信心してかの楊枝をもつて口中をそゝぎしかば、忽ち癒たり。

しかるがゆへ、今も當寺より夢想の楊枝を出せば、是を受て利益蒙むるもの、又少なからず。

筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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