【女大学宝箱】(7)洗い張り・手染め


澣汚は、女のすべきわざ也。
ゆく秋ふくる砧のをとも
冬まつ宿のまうけならずや
むかしは文王の后、父母のもとへ帰りみ給ふときの詩に「薄汚我私、薄我衣」とあり。これ天子の后妃としてかくのごとし。
※ 「まうけ」は、準備のこと。
※ 参考:『女子の本分』(国立国会図書館デジタルコレクション)

今の世は、たかき人は、あらひはりものをきることなし。まして、手にかけてすることなき身も見もせぬてう本意なけれ。ころもをあらひすゝぎには、先 灰汁に和して、これをおとす也。つよく油のしみたるは、滑石の粉をふりかけてすゝぐべし。よくおつるなり。
※ 「見もせぬてう」は、誤読しているかもしれません。



あらひはり、色あげ、手染は、女のなぐさみにもすべき手わざ、かつは身をつかふひとつぞかし。
染ものゝ中にも、紅梅染の心やすくはなやかにいできて、紅花にまさるをこゝにしるす。
一 すはう 四十目
一 ずみ 薬種也 同
一 かりやす 十二匁
一 めうばん 三匁
右ひとつにして、水二升弱入てせんじ、よく出るをまちて、いくたびもそむべし。ことの外色よく、見ごと也。此法、秘密なれどもしるす。
※ 「色あげ」は、色があせた古い布などを染め直して鮮やかにすること。
※ 「かつは」は、「うつは」かもしれません。
※ 「すはう」は、蘇芳。マメ科の落葉小低木。黒みを帯びた赤紫色の染料。
※ 「かりやす」は、刈安。イネ科の多年草、黄色の染料。
※ 「めうばん」は、明礬。
※「ことの外」は、ことのほか。
※ 参考:『蜀山人全集 巻3』(国立国会図書館デジタルコレクション)


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