【語源】日本釈名 (30) 禾穀(稲・穂・早稲・晩稲・黍・粟・稗など)

稲
「い」は「いつくし」也。「ね」は「苗」也。「なえ」の反は「ね」也。「いね」とは「いつくしき苗」也。諸穀にすぐれて、苗まづいつくしむべし。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
粟
「もゆる實」也。「もゆる」は、おひ出るを云。もみをまけば、もえ出づ。からを去たる米をまきては生ぜず。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
米
「こめ」は「小実」也。「み」と「め」と通ず。一説に「こもる」也。もみの内にこもる也。「も」と「め」と通ず。下を略せり。「よね」は「いね」也。「い」と「よ」と通ず。「いねのみ」也。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

穂
「尾」也。「お」と「ほ」と通ず。穂のかたち、けだものゝ尾に似たり。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
早稲
「はやし」也。「は」と「わ」と通じ、「し」と「せ」と通ず。「や」の字を略せり。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
晩稲
「おくれて出る」也。おそく穂にいづる也。「て」は「出る」也。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
大豆
「ま」は「まるき」也。「め」は「實」也。「み」と「め」と通ず。丸き實なり。
※ 参考:『古事類苑 第51冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
綠豆
「ま」は「丸き」也。「さ」は「小」也。「め」は「豆」也。丸く小なる豆也。又「やゑなり」とも云。「やゑ」は「〇重」也。「なり」は「みのる」也。一年に二度みのるもの也。故に「やゑなり」と云ふ。
※ 「綠豆」の読みの「マサメ」は、真小豆。フタナリマメ(二成豆)の別名。
※ 参考:『古事類苑 第51冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
豇豆
竹垣にたかくはひのぼりて、其実は物をさし上たるがごとく、たかくなる。故に「さゝげ」と名づく。
※ 「たかくはひのぼり」は、高く這い上り。
※ 参考:『古事類苑 第51冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
黍
「黄實」也。きびのみは黄なり。「み」と「び」と通ず。黒きびもあれども、正色にあらず。
※ 「黄實」は、黄実。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
■豆 (■は先+先+日+虫+虫)
其実、空に向ひてなる物也。
※ 参考:『古事類苑 第51冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
粟
「大穂」也。穂の大なるものなり。「お」と「あ」と通じ、「ほ」と「は」と通ず。中を略す。一説に五穀の内にて味淡きゆへに名づく。
※ 参考:『広文庫 第1冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

稗
「いやし」也。「いや」と「ひゑ」と通ず。「し」を略す。穀中のいやしきものなり。一説、「ひ」は「ゑ」の發音也。「ゑ」は鳥の餌也。是、またいやしき穀なれば也。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
粳
「うるはしいね」也。味よければ也。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
赤小豆
「あ」は「赤」也。「つき」は「とけ」也。他の穀よりやはらかにして、煮てはやく、とけやすし。又、つきはもちなどにつくるなり。
※ 参考:『古事類苑 第51冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
罌粟
「ひらけ白し」也。上を略す。他の白き花は、つぼみたる時より、おほくは白し。けしは、つぼみたる時には青き皮あり。ひらけて後、青皮おちて、しろくなる。他の花にかはれり。
※ 参考:『広文庫 第7冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
蕎麥
「そばむぎ」と云意。まことの麦にあらず。麦につぎてよき味也と云意也。民の食として麦につげり。胡瓜をも「そばうり」と云。是も瓜に似たる意也。
※ 参考:『古事類苑 第51冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
秕
「みなしいね」也。「みな」を略す。「しいな」とも云ふ。「ね」「な」相通ず。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)

糠
米のぬけがら也。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
薏苡
「すゝ」は「数珠」也。中をつらぬきて数珠とす。故に名づく。又、「つしたま」と云。「つし」は「すゝ」の通音也。この漢字の音を和語としたる也。此類、猶多し。
※ 「薏苡」の「薏苡」は、ハトムギのこと。読みの「スゝタマ」は、ズズタマ(数珠玉)。食用品種のハトムギはジュズタマを改良したものだそうです。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
麥
他の穀は、一度からを去てよし。麦はからを去て後、度々皮をつきむきて後、食とする故に「むき」と云。
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
小粉
小むぎの粉を水に入て、其すめるをとりて、水ひしほしたるを云。『月令廣義』に此字をかけり。和訓にあらず。
※ 「月令廣義」は、明の時代に編纂された年中行事・儀式などの解説書。参考:『月令広義』(国立公文書館デジタルアーカイブ)
※ 参考:『古事類苑 第50冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
阿刺吉酒
本草に「焼酒」の異名なり。和訓にあらず。
※ 参考:『古事類苑 第44冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
餈
「むし」也。糯米をむして飯とし、旧にてつき、和して餅とす。又、「たもち」也。久しくたもつ也。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
