『開化の笑顔』川柳(23)〽三毛猫がしれぬで後家は八卦を見ィ


〽 はんだんを 仕てくだされと 昆布しがみ
〽 辻うらや しかつめらしく 本を讀み
※ 「はんだん」は、判断。ここでは、吉凶の見分け、占いのこと。参考:『大日本国語辞典 巻4(判断)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「辻うら」について、昭和初期の本から「辻占」の説明を引用します。
辻占と称えて、財宝の利、恋愛の情、遊離の首尾などを「待人来る」「逢いたさ故に」「約束どほり」といふ風に語短く書いて紙に摺りたるを、小さき煎餅にて包めり。又、昆布辻占とて、煎餅の代りに昆布を用ゆるもありき。辻占は大概夜分これを売り歩くを例となしぬ。
※ 参考:『大日本国語辞典 巻3(つじうら)』『類聚近世風俗志 : 原名守貞漫稿 下(書占)』『スポーツと探訪』『辻占独判断』『春あそび辻占寿古六』『歴世女装考 : 4巻 夏』『北斎漫画 11編』(国立国会図書館デジタルコレクション)

〽 はんだんや 喰ふさんだんで 昆布うり
〽 縁だんは 結び昆布と はんだんし

〽 八卦見は 九げんのうそで 飯を喰ひ
〽 三毛猫が しれぬで 後家は 八卦を見ィ
※ 「八卦」は、占いのこと。「当たるも八卦当たらぬも八卦」の八卦。
※ 「九げん」は、苦患のことと思われます。苦しみや悩みのこと。「八卦」の八に掛けて、「苦患」の「く」に「九」の字を当てているのでしょうか。
※ 「しれぬ」は、知れぬ。三毛猫が見当たらないという意味と思われます。
※ 「見ィ」は、三毛猫の三、猫の鳴き声(または名前)に掛けたものと思われます。

〽 易廃止 天然道理 /\
〽 廃止から 喰ふ方がくを 見うしなひ
〽 我が凶事は わからで 易者 拘引られ
※ 「易廃止」は、明治六年(1873年)に占いなどが禁止(教部省の通達)されたことを指していると思われます。
明治六年 教部省
第二号(一月十五日) 府縣
従来梓巫市子並憑祈祷狐下ケ抔ト相唱玉占口寄等之所業ヲ以テ人民ヲ眩惑セシメ候儀自今一切禁止候條於各地方官此旨相心得管内取締方厳重可相立候事
※ 「喰ふ方がくを見うしなひ」は、喰う方角を見失い。占いの職を失って食べていけなくなったことを揶揄していると思われます。
※ 「拘引られ」は、人を捕らえて無理やり連れていくこと。拘引。禁止された占いをしていて警察に引っ張られた者が、自分の凶事は当てられなかったと揶揄していると思われます。
筆者注 ● は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
