【語源】日本釈名 (36) 衣服(衣、袴、帯、襟、引出物、錦など)

衣
「ころ」は「きる」の轉語なり。「も」は「もの」也。「きるもの」也。
※ 「轉語」は、転語。
※ 参考:『古事類苑 第43冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
御衣
「おん」は「御」也。「そ」は「そふ」也。衣は身にそふ物也。又、「みそ」とも云。「みそ」の「み」も「おん」なり。「君がみそぬふ」など哥にもよめり。
※ 「君がみそぬふ」は、柿本人麻呂の歌のことと思われます。
下ひもの 夕さりかけて ときつれば
君がみそぬふ いとの嶋見ゆ
※ 「哥」は、歌。
※ 参考:『古事類苑 第43冊』『大日本史料 第1編之7』『国歌大観 續 索引』(国立国会図書館デジタルコレクション)
裳
「しも」なり。身のしもにある服也。上を略す。
冠
頭にかうふる也。
※ 「かうふる」は、被る。
袴
「帯裳」なり。「きも」と「かま」と通ず。腰より下に帯を「はく」と云。太刀をはき、脛巾をはき、たびをはくの類なり。裳は、こしより下の服なり。
※ 参考:『古事類苑 第43冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
帯
「お」は「緒」也。「び」は「むすび」なり。
※ 参考:『古事類苑 第43冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
衾
「ふしまとふ」也。ふして身にまとふ也。
※ 参考:『古事類苑 第47冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
襟
「縁」也。衣の「へり」也。「へ」と「ゑ」と通ず。
絹
「きぬ」は「きるぬの」也。是、いまだ。たちぬはさるを云。「ぬの」とは麻布にかきらず。
※ 「たちぬはさる」は、断ち縫はざる。
※ 参考:『古事類苑 第42冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
衣
「きてぬぐ」なり。きつ、ぬぎつ、するものなり。是は、すでに、たちぬひたるを云。
※ 「たちぬひたる」は、断ち縫ひたる。
※ 参考:『古事類苑 第43冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
表
表は、靣なり。裏は内なり。「ら」は助字也。

袖
「そ」は「衣」也。「て」は「出」也。衣の左右に出たる處也。
※ 参考:『古事類苑 第43冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
綿
「あた」也。「あ」と「わ」と通ず。これを服れば、あたゝかなり。
袂
たもと、『萬葉』に「手本」とかけり。手の下なり。
絺綌
あはせのかた/\のひら也。「ひら」は一枚也。
生■ (■は糸+厶+月)
うすくして、すゝしききぬ也。
※ 「生■」は、生絹。生絹衣。
※ 参考:『大日本国語辞典 巻3(すずし)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
衣の裔
「つま」は「爪」也。衣の末を云。つめは、手足の末にあるもの也。
脛巾
「はきはき」也。「はぎ」の「き」を略す。
※ 参考:『大日本国語辞典 巻4(はばき)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
綾
此きぬの紋に「あや」あるゆへ也。「あや」は「文」也。
襷
「手助」也。たすきをかくれば、手のちからを助るなり。
紬
「つむぐ」也。「つむぐ」とは、わたをつみて、引ながめ糸となすを云。『順和名抄』に「つぐ」と云意。つむぎは、かやうにしておる也。きぬをおるには、まゆのいとを其まゝとりておる。つむぎは、それにかはれり。
總
「ふ」は「ふとき」也。大なるを云。「さ」は「先」に付る故也。又、ふとくさがるなり。

引出物
昔は、馬を人にあたふる事多し。引出て人にあたふ。故に、それよりおこりし言なるべし。
浅葱色
「き」は「葱」なり。黄色にはあらず。「ひともじ」は青色なり。浅き青いろを「浅ぎ」と云。『詩経』に「葱珩」とあるも、青色の珩をいへり。
※ 「葱珩」は、青色の佩玉のこと。
萌葱色
「き」は「葱」なり。もえ出るひともじのいろのごとくなり。もえ黄にはあらず。
麹塵
こうじのはなを「きくぢん」と云。「きちん」の色、かうじのはなのごとし。音なり。
※ 「麹塵」は、灰色がかった黄緑色。
布
「ぬ」は「ぬの」也。「の」ゝ字「ぬ」と通ず。いまだ、ぬはざるを「布」と云。ぬひたるは「ころも」なり。
幅
「布のはゞ」を「の」と云。「の」は「法」也。布のはゞは、そのひろさ、寸法あり。法にあはずして、せばけれは用ひず。
錦
「に」は「丹」也。「あかき」也。「し」は「白」也。「き」は「黄」也。赤白黄、いろ/\おりまぜたる也。
鞋
「わらぐつ」也。

單皮
『順和名』に見えたり。音を以、和語とせり。和訓にはあらず。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『和漢三才図会 上之巻』
韈
「したぐつ」也。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『和漢三才図会 上之巻』
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