【職人図鑑】彩画職人部類(17)琴(こと)

琴
唐土には琴瑟とわかれ、品● 甚分る。本朝の琹は、『旧事紀』にいふ天の詔琴大己貴命持給ひしとあり。和琴は『河海抄』に出たり。
又、弓六張をならべて引鳴らしたるより起ると『無名抄』に云。天鈿女命、天香の弓たて並べ、弦をならし給ふ故事なり。
※ 「琴瑟」は、琴と瑟(大琴)。きんしつ。
※ 「琹」は、琴の異体字。
※ 「旧事紀」は、平安時代に編纂された歴史書『旧事本紀』のこと。
※ 「天の詔琴」は、和琴の起源となった琴。天沼琴。
※ 「河海抄」は、南北朝時代に書かれた源氏物語の注釈書。
※ 「無名抄」は、鎌倉時代の歌論書。著者は鴨長明。
※ 「天鈿女命」は、天鈿女命。
※ 参考:『近古文芸温知叢書 第3編(琴)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

今玩ふ十三弦は、筝といふなり。宇多帝のとき、筑紫彦山にて色子といふ命婦、此曲を唐人に傳えられし事あり。筑紫琹ともいふ。又、ある説には、十三弦は二十五げんをわりて半畧したる也。十二調子をあはせり。物の一弦、名のみばかりにてひく事なし。因て半琹と云。
爰に八橋流は寛文の比、筑紫の法水といふ僧、筝を八橋検校に傳ふ。それ筑紫曲といふとぞ。
※ 「玩ふ」は、玩ぶ。
※ 「色子」は、石川色子。豊前の彦山で唐人に琴を教わり習得したそうです。
※ 「筑紫琹」は、筑紫琴。参考:『言海 : 日本辞書 第1-4冊(つくしごと)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「半畧」は、半略。
※ 「爰に」は、ここに。
※ 「八橋流」は、八橋検校が創始した箏曲の流派。
※ 「寛文の比」は、寛文の頃。

和琴について

『和漢三才図会:105巻首1巻尾1巻 [18]』

『やまとまひ歌譜並装束調度図』

問 琴は十三弦(いと)なるものを云へるにや
答 通じて琴(こと)と称すれども然らず。十三弦(いと)なるは、筝の琴にて、琴は大中小ありて、大琴は二十弦、中は十弦、小琴は五弦なり。瑟あり。之は二十五弦あり。和琴あり。其糸六弦なり。小弓六張を雙べ、音(をと)をなせしより始れり。此外、一弦なる須磨琴あり。二弦なるを八雲琴と称す。並に音声を調ぶる所のものなり。
瑟について

『和漢三才図会:105巻首1巻尾1巻 [18]』
筝について

『和漢三才図会:105巻首1巻尾1巻 [18]』
参考:『画引小学読本』『改正小学入門図解便覧』(国立公文書館デジタルアーカイブ)
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