【女大学宝箱】(42)女大学⑤

ざる所なり。自顧戒て、改去べし。中にも、智恵の浅ゆへに、五の疾も 發 る。女は陰性なり。陰は夜にて暗し。所以、女は男に比るに愚にて、目前なる 可然 ことをも知らず。

又、人の誹るべきことをも、弁へず、わが夫、我が子の災と成べき事をも知らず。科もなき人を怨み、怒、呪詛、あるひは人を妬にてみてわが身独立んと思へど、人に憎れ疎まれて、みな我

身の仇となることを知らず。最はかなく、浅 ●し。子を育れ共、愛に溺れて、習はせ悪し 斯 愚なる故に、何事も我身を謙て、夫に従べし。古の法に「女子を産ば、三日床の
※ 「古の法に女子を産ば三日床の下に臥しむるといへり」は、支那の古法にあるようです。参考:『日本婦人待遇論』『裸体の人間』『母性の出発』(国立国会図書館デジタルコレクション)

下に臥しむる」といへり。是も、男は天に例、女は地に象るゆへに、萬のことにつきて裳、夫を先立、我身を後にし、我なせる事に能ことありとても、誇 心なく、亦、悪ことありて

人に云るゝ迚も、諍はずして、はやくあやまちをあらため、重て人に謂れざるやうに、我身を敬、又、人に侮れて裳、はらたち憤ことなく、能堪て、物をおそれ、慎べし。如 斯心得なば、夫婦の中

をのづから和らぎ、行すゑながく連そひて、家のうち穏なるべし。
右のみ條々稚なき時より、よく訓べし。又、書付て、折々讀しめ、忘るゝことなからしめよ。今代の人、女子に衣服、道

ぐなど、おほく與て、婚姻せしむるよりも、此条々を能おしゆること、一生身を保寶なるべし。古語に「人よく百萬銭を出して女子を嫁せしむることを知て、十萬銭を出して子をおしゆる

ことを知らず」といへり。誠なるかな。女子の親たる人、此理を知ずんばあるべからず。
益軒貝原先生述
※ 参考:『日本倫理史稿(女大学)』『ポケット女四書(女大学)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
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