【女大学宝箱】(18)お茶作り

宇治茶は名物とす。義光将軍、大内介に命じて植しめ給ふ。その後、義澄公、ことに賞し給ふて、これを選びて「極」となづく。又、「上揃」となづく。又、「別義揃」と云ふを世、上林峯順、并、竹菴らの人、丹波より此所にうつりて富栄ゆ。
凡、宇治のうち、一家の茶師、公儀の御壷をおさめて献ず。其餘は、製する所の茶一袋二袋に十一家のつぼのうちにつめておさむなり。
そのほか、せんじ茶は、所々よりいづる也。これをつむよりこしらゆるまで、ことに女のしんらうすることなり。
※ 「義光将軍」は、室町幕府の第三代征夷大将軍、足利義満。
※ 「大内介」は、南北朝時代から室町時代の守護大名、大内義弘。
※ 「義澄公」は、室町幕府の第十一代征夷大将軍、足利義澄。
※ 「別義揃」は、 薄茶の上品のこと。参考:『大日本国語辞典 第5巻 修訂(別義揃)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「と云ふを世」は、誤読しているかもしれません。
※ 「并」は、ならびに。
※ 「十一家」は、御物茶師の上林峰順、上林竹菴、上林三入、上林春松、上林味卜、上林平入、星野良以、永井貞徳、尾崎有菴、酒多宗有、竹田道菴の十一家。
※ 「しんらう」は、しんろう。心労または辛労。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『女大学宝箱』

田舎むきの国のこしらへ、手間のいらぬを第一としてこしらゆるを「おくごみ」といふ。まづつみて、むしあげて、しばし筵やうのものをかけて、のち、もみそろへ、ほいろにかけて、ほし上る也。みな女のしんらうぞかし。
それ茶は苦く甘みありてすこし寒性なれば、多くのみてよろしからず。しかれども、小便を利し、痰熱をさり、渇をやめ、ねぶりをすくなからしめ、頭を涼しくし、頭痛をやむる能あり。
※ 「筵やうのもの」は、筵様の物。
※ 「ほいろ」は、焙爐。炭などの火にかざして茶を焙じたり、物を乾かしたりする道具のこと。参考:『和漢三才図会 : 105巻首1巻尾1巻 [22]』(国立国会図書館デジタルコレクション)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
『日本山海名物圖會 二』
※ 「ねぶり」は、眠り。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『女大学宝箱』
※ 参考:『日本芸林叢書 : 12巻 苐七巻(別義揃)(上林峯順)』『帝国商業史講義録 其1(御物茶師)』『国史大辞典 [本編](御物茶師)』『大日本実業学会商科第2期講義 日本商業歴史(宇治の茶師)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
よかったら過去noteも参照してみてくださいね。👀
→ 『日本山海名物圖會』宇治茶摘/茶製法/茶名物/焙籠
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