【女大学宝箱】(41)女大学④

一 巫覡などのことに迷ひて、神佛を汚し、近付猥に祈るべからず。只、人間の勤をよくする時は祷らずとても、神仏は守給ふべし。
一 人の妻と成ては、その家をよく保べし。妻の行ひ

悪く放埓なれば、家を破る。萬事倹にして、費を作べからず。衣服、飲食なども、身の分限にしたがひ用て、奢ことなかれ。
一 若き時は、夫の親類、友達、下部等の若き男には、
※ 「下部」は、召使のこと。

打解たる物語近付べからず。男女の隔を固すべし。如何なる用有とも、若男に文など通はすべからず。
一 身の荘も衣裳の染いろ、模様なども、目にたゝぬやうにすべし。
※ 「目にたゝぬ」は、目立たないようにという意。

身と衣服との 穢 ずして、潔なるはよし。勝て清を惣し、人の目に立ほどなるは悪し。只、わが身に應じたるを用ゆべし。
一 我郷の親の方に私し、夫の方の親類を次に
※ 「惣し」の「惣」は、誤読しているかもしれません。

すべからず。正月、節句などにも、先夫の方を勤て、次に我親の方をつとむべし。夫の許ざるには、何方へも行べからず。私に人に贈ものすべからず。
一 女は、我親の家をば續ず。舅姑の

跡を継ゆへに、わが親よりも嫜を大切に思ひ、孝行を為べし。嫁して後は、わが親の家にゆく事も希なるべし。増て、他の家へは大形は使を遣して、音問をなすべし。又、我親郷のよきことを
※ 「音問」は、訪れ、便りのこと。 参考:『大日本国語辞典 巻1(いんもん)(音問)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

侈て、讃かたるべからず。
一 下部、餘多めしつかふとも、万の事、自辛労を忍て、勤ること、女の作法なら、舅姑の為に、衣を縫、食を調へ、夫に仕て、衣を畳、席を掃、子を

育、汚を洗、常に家の内に居て、猥に外へ出べからず。
一 下女をつかふに、心を用ゆべし。云《いふ》|甲斐なき下臈は、習し悪くて、智恵なく、心奸敷、物いふこと、祥なし。夫のこと、舅姑姨こと
※ 「下臈」は、身分のいやしい者のこと。
※ 「奸敷」は、姧ましく。心がねじけていること。参考:『大日本国語辞典 巻1(かたまし)(かたむ)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「祥なし」 参考:『大日本国語辞典 巻2(さが)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

など、我心に合ぬ事あれば、猥に、讒聞せて、それを却●君の為と思へり。婦人、もし智恵なくして、これを信じては必恨み出来安し。元来、夫の家はみな他人なれば、恨み、叛き

恩愛を捨ること安し。構て下女の詞を信じて、大切なる嫜姨の親を薄くすべからず。若、下女勝れて、声言くて、悪き者ならば、早く追出すべし。斯様の者は必ず親類の中をも云、さまだげ

家を乱す基となるもの也。恐るべし。又、卑き者を使には、氣に合ざること多。それを怒り、罵て、止ざれば、約/\敷、腹立こと多して、家の内、静ならず。悪き事あらば、折々云教て、誤を直す
※ 「約/\敷」は、約しく。参考:『大日本国語辞典 巻3(せはせはし)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

べし。少の過は、忍て怒るべからず。心の内にはあはれみて、外には行規を固、訓て、怠らぬ様につかふべし。與へ恵べき事あらば、財を惜べからず。但、我氣に入たるとて、用にも立ぬ

者に、猥に與ふべからず。
一 凡、婦人の心様の悪き病は和ぎ順ざると、怒恨ること、人を謗ると、物妬と智恵浅きとなり。此、五病は、十人に七、八は必あり。是、婦人の男に及ば
※ 参考:『日本倫理史稿(女大学)』『ポケット女四書(女大学)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
筆者注 ● は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
