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【観音霊験記 西国巡礼】第十七番山城京六波羅密寺/空也上人

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
観音霊験記 西国巡礼十七番山城京六波羅密寺 空也上人

觀音靈驗記くわんおんれいげんき 西國さいこく順禮じゆんれい 十七番山城京六波羅密寺
  おもくとも いつゝのつみは よもあらじ
     六波羅堂ろくはらだうに まへるなれば

※ 「まへるなれば」は、まいなれば。翻刻によっては「まいる身」と記されています。

空也上人くうやしやうにん
天暦てんりやく五年ごねんはる洛中らくちうことのほかだい疫疾やくびやう流行はやりて、諸人しよにん葬屍さうしちまたにみち、萬人ばんにんかなしみいはんかたなく、因茲これによりて空也くうや上人しやうにんふかくなげきて、みづから十一めんぞうきざみて、丹誠たんせい強情がうじやういのり、尊像そんぞうくるまのせて、市中しちうひきわたりて、信心しん/\をすゝめしに、一度ひとたびひきわたりし町々まち/\はとみにいえければ、諸人しよにん大悲だいひ妙智力めうちりきをふかくたうとび、つひ當寺たうじ開基かいきして、その佛躰ぶつたい本尊ほんぞんとせり。

※ 「妙智力めうちりき」は、 仏菩薩ぶつぼさつが持つすぐれた知力のこと。

疫病やくびやう流行りうこうとき觀音くわんおんけうじたる典薬くすり疫人ゑきじんのましむるに、ひとりとして平癒へいゆせざるものなきを、村上むらかみ天皇てんわうきこしめされてことに信心しん/\あつて、その典薬くすり吉例きちれいとして、毎歳まいねん元三ぐわんさんふくし玉ふより、諸人しよにんこのれいをおふて「王服わうふく」とがういはもちゆるは、一年ひとゝせゑきれいをまぬかるゝためなりといへり。

※ 「元三ぐわんさん」は、正月元日、または、元旦から三日のこと。
※ 「王服わうふく」は、大服茶おおぶくちゃのこと。正月元日に茶の湯に梅干し、山椒を入れて飲むもの。参考:『大日本国語辞典 巻1(大服茶)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 参考:『日本喫茶史料(空也上人茶を病者に與へし事)』『京都案内都百種(空也堂)』(国立国会図書館デジタルコレクション)


※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)



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