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【観音霊験記 西国巡礼】第六番大和壺阪寺/栖軽

出典:国立国会図書館デジタルコレクション
観音霊験記 西国巡礼第六番大和壺阪寺 栖軽

觀音靈驗記くわんおんれいげんき 西國さいこく順禮じゆんれい だいばん 大和やまと壺阪寺つぼさかでら
  いはをたて みづをたゝへて 壺坂つぼさか
     にはのいさごも 浄土じやうどなるらん

※ 「いさご」は、砂子いさご

栖輕すかる
雄畧ゆうりやく天皇てんわう廿三年にじふさんねんみかど大安殿たいあんでんましますとき、にはか風雨ふう雷電らいでんはげしくはつしければ、随身ずいしん小子部こしべ栖輕すかるみことのりして「なんじいそ雷神らいじんきたるべし」と。

勅命ちよくめいかうむり、たゞちうまはせて、阿部あべやまかたおひゆきとゞろきわたる虚空こくう白眼しらみて「わがてうそらなり、勅命ちよくめいらずや」と大音だいおんのゝしりしかども、雷鳴らいめいとゞまらず。

栖輕すかる壷坂寺つぼさかでらかたにむかひて「観音くわんおん薩埵さつた王土わうどをあに擁護ようごあらざるや」といひつゝかの普門品ふもんぼん妙文めうもん
「 雲雷うんらい掣電せいでん がう雹澍はくじゆ大雨だいう
  ねん観音力くわんおんりき 應時おうじとく消散しやうさん 」
時念じねんしければ、

※ 「薩埵さつた」は、観音薩埵かんのんさったの略。菩薩の意。
※ 「雲雷うんらい掣電せいでん…」は、観世音菩薩かんぜおんぼさつ普門品ふもんぼん観音経かんのんきょう)の一節。

御寺みてらかたより異光いくわうはためくとへけるより、さながらはげしいかつち豊浦とようら飯岡いゝをかあいだおちたるを生捕いけとりて、王宮わうきうけんじければ、殿上人でんしやうしやうせぬものなく、これより神取かみとり栖軽すがるなづけけり。

※ 参考:『西国・秩父・坂東百観音霊験廻拝記』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』『西国三拾三所観音霊験記図会』(国立国会図書館デジタルコレクション)



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