【語源】日本釈名 (44) 虚字(詳・常磐堅岩・偖・云々・壽など)【読了】

詳
「つま」は「約」也。「ひらか」は「開」也。つゝまやかなるが、ひらけて廣くなりたる也。
常磐堅岩
「ときは」とは「とこいは」。「かきは」とは「かたきいは」なり。常にありて、かはらざる事をいへり。「岩」は「永くほろびざる」意也。「常盤」とかくは、あやまりなるべし。木の葉の「ときは」は「常葉」とかく。「とこは」なり。
可愛
世語に「かはゆし」と云ことば、此字なるべし。和訓にはあらず。
馴染
「なれしむ」也。「染」の字、『万葉』に「しむ」とよめり。「そみ入る」を云。
衰
「おとろふ」也。「おと」と「うつ」と、音相通ず。「花のうつろふ」など云も、色のおとろへたるを云。時世のおとろへたるも、「うつろふ」と云。古書に見えたり。
延
「袖をはゆる」、「糸をはゆる」など云。「はゆる」は「はる」也。「ゆ」は、やすめ字なり。
餘波
「波のこる」也。風はやみ、くも波はのこるもの也。人のわかれをおしむも、これよりおこりしことばなるべし。

不明
「火のかすかなる」也。『万葉』に「不明」とかけり。
速
「いまだはやき」也。『万葉』に此字をよめり。
神宿
「さぶる」は「久しくふる」也。「ひ」を略せり。「物さふる」など、同意なり。
恨
「うらみ」より出たることば也。「み」と「め」と通ず。
全
「またく」とは、「まとかなり」と云意。「まとかなり」とは、まるくして、きずもなくそなはりたるを云。「と」ゝ「た」と音相通ず。「左右」を「まて」と云も、「全き手」也。左右そなはりたるを云。
※ 参考:『真宗全書 第27巻』(国立国会図書館デジタルコレクション)
噪
鳥の集鳴を「さはぐ」と云。「さは」は「多」也。「く」は「鳴」也。
恠
天変地変物変などの常にかはりてあやしき事あるを「さとし」と云。是、天より人にあしき事をさとらしめ、身のあやまりをあらためさせ給ふなり。「恠」の字、『万葉』に「さとし」とよめり。
偖
「さありて」の意。中略也。發語にもかり用ゆ。
齊
「一様」の意なるゆへ、一より出しことばなり。「し」は、助字なり。

云々
文章をかきかけて云。おはらずしてやむるとき、「しか/\」と云は、「かくのごとく/\」といはんがごとし。
壽
「言向」也。「手向」の類也。人をいはひて物を送るを云。君にことぶきを奉ると云。たがためにことぶきすと云。命数をいふにはあらず。命数をは「寿」とよむべし。
『日本釋名下巻』終
元禄庚辰之歳京師書林
上嶋瀬平 長尾平兵衛 㒰梓
筆者注 ●は解読できなかった文字、□は欠字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
