【蔦屋重三郎×喜多川歌麿】絵本百千鳥(2)木兎×鷽・かし鳥×鴟鶉・鵜×鷺など【読了】
江戸時代後期に出版された喜多川歌麿の絵に狂歌をつけた歌合せです。序文は狂歌師の宿屋飯盛(石川六樹園)と思われます。出版は蔦屋重三郎。
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木兎
鳥とゝもに なきつ わらひつ くとく身を
それそときかぬ 君かみゝつく
市仲住
鷽
うそとよふ 鳥さへよるは ぬるものを
とまり木のなき 君のそらこと
笹葉鈴成
※ 「鷽」は、鷽鳥。うそ。参考:『大日本国語辞典 巻1(鷽)(鷽鳥)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

かし鳥
かし鳥の つたなき聲か くとけとも
なけとも君の 耳にとめぬは
大屋裏住
鴟鴞
ふくろうの めはもちなから いかなれは
よるはくれとも ひるみえぬ君
寐語軒美憐
※ 「かし鳥」は、樫鳥。カケスの別名。
※ 「鴟鴞」は、ここではフクロウの別名。しきょう。

鵜
鳥の名の うき名かこたん 川波に
はつとはなしの たねとなりなは
唐来三和
鷺
あふてのち うき名をふるゝ からすより
たゝ口さきの へらさきそうき
鹿都部真顔

鷦鷯
大鵬の たかき心の 君ゆへに
うきみそさゝゐ よりもつかれす
唐衣橘洲
鴫
ねもやらて 後生大事に まつ夜半の
さひしさまさる 鴫のかんきん
千客万来
※ 「鷦鷯」は、みそさざい。
※ 「大鵬」は、古代中国の想像上の鳥。鯤という大魚が化したもので、翼は三千里あるという大きな鳥。参考:『大日本国語辞典 巻3(大鵬)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「鴫のかんきん」は、鴫の看経。鴫が田沢にぼんやり静かに立っている様子のこと。参考:『大日本国語辞典 く-し(鴫の看經)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

さためなき 君か心の むら雀
つゐにうき名の はつとたつらん
綾織主
鳩
鳩の杖 つくまて色は かはらしな
たかひに ● の まめはくふとも
園胡蝶
※ 「むら雀」は、群雀。群れをなしている雀のこと。
※ 「鳩の杖」は、手で握る部分に鳩の形を刻み付けた老人用の杖のこと。参考:『大日本国語辞典 巻4(鳩杖)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「たかひに ● の」は、たかひに年のと思われます。互いに年の。
※ 「まめはくふとも」は、鳩が豆を食うことと節分に年の数だけ豆を食べることの掛け言葉になっていると思われます。

まめまはし
思ふのに いらさる口の まめまはし
つゐさえつりて 名やもらすらむ
朱楽菅江
木つゝき
名にたちて 恋にや朽ん 木つゝきの
つきくたかるゝ 人の口はし
篠野玉涌
※ 「まめまはし」は、スズメ目アトリ科の鳥のイカル(斑鳩)のこと。参考:『大日本国語辞典 第5巻 修訂(まめまはし)』『大日本国語辞典 巻1(斑鳩)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「口はし」は、觜と人の口の端(うわさ)が掛けられていると思われます。

山鳥
山鳥の ほろ/\なみた せきわひぬ
いく夜かゝみの かけもみせねは
最中月麿
鶺鴒
あふた夜に むねのおとりは なほりても
いまに人目の せきれいはうし
万徳齋
※ 「ほろ/\」は、鳥の鳴き声のホロホロとほろほろ流す涙の掛け言葉になっています。
※ 「せきわひぬ」は、塞き侘びぬ。せきとめるのに苦心すること。
※ 「鶺鴒」は、セキレイ。
※ 「人目のせき」は、人目の関。人目がはばかられて思うままにできないこと。近松門左衛門の『娥歌加留多』の『小鳥づくし』のなかに次のような行があります。
「思ふ中には名もつらき、人目のせきれいうちとけて、いつかはめぐりあふむの鳥」参考:『近松浄瑠璃集 続 3版』『花鳥研究』(国立国会図書館デジタルコレクション)
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
